ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission:KHRC)の上席裁決委員であるジョン・ヴィーチ(John Veitch)氏は、11月28日に解雇された。同氏は、2010年ブリーダーズカップ開催時のライフアットテン(Life At Ten)を巡る状況(同馬の不可解な競走結果)に関して調査の対象となっていた。
ヴィーチ氏のトム・マイラー(Tom Miller)弁護士は、KHRCを監督している州の公衆保護庁(Public Protection Cabinet)から“ヴィーチ氏はもはや勤務する必要はない”と記された書簡を本人が受け取ったことを認めた。また、その書簡にはヴィーチ氏が理由なしに解雇されたこと、つまり州人事委員会に対して訴訟を起こす権利がないことが記された。
解雇はただちに実施されたと述べた。
同弁護士は、ヴィーチ氏があらゆる法的手段の行使を模索していると述べた。また州の公衆保護庁の仲裁人選定者であるホリー・マッコイ-ジョンソン(Holly McCoy-Johnson)氏からの書簡という形で告げられたが、今回の解雇は、そのタイミングの点で興味深いと付言した。
審査官がこの夏ライフアットテン(Life At Ten)の状況について行われた調査と審問を基に報告書作成の真っ最中に、この措置はとられた。州エネルギー・環境庁行政審判局の上席審査官であるロバート・レイトン(Robert Layton)氏は、この夏に行われた3日間の審問を基に報告書を作成中である。11月初めにレイトン氏は報告書を仕上げるために30日間の延長期間を要請し認められていた。
キャンディー・デバルトーロ(Candy DeBartolo)氏が所有し、トッド・プレッチャー(Todd Pletcher)調教師が管理していたライフアットテンは、BCレディーズクラシック(G1)においてオッズ7-2(4.5倍)の2番人気に推されていたものの最下位となった。同馬にはジョン・ベラスケス(John Velazquez)騎手が騎乗していたが、発馬時に大きく出遅れ、レース中終始、通常の走りっぷりではなかった。
このためKHRCは、レース直前にベラスケス騎手がESPNレポーターの元騎手ジェリー・ベイリー(Jerry Bailey)氏に対して語ったコメントの分析を含む調査を開始していた。ベラスケス騎手は、ライフアットテンの返し馬は通常の状態ではなかったと語っていたが、裁決委員やKHRCの獣医師にはその懸念を伝えていなかった。
KHRCは、ベラスケス騎手とヴィーチ氏がこの出来事に関して競馬ルールに違反したとするのに十分な理由があると認めた。同騎手は競馬ルールに違反したとは認めなかったが、1万ドル(約80万円)の過怠金を支払い、その半分は慈善活動に提供された。
ヴィーチ氏はこの件に関して何も落ち度はなかったと語り、自身に対して下された措置は、KHRCの専務理事リサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)氏との間の懲戒案件を巡る確執による面もあると述べていた。
アンダーウッド専務理事は10月、ケンタッキー州レキシントンの法律事務所のパートナーとなるために11月16日にその職を退くと発表していた。
By Ron Mitchell
(1ドル=約80円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2011年No.34「ヴィーチ裁決委員、ライフアットテン事件での対応を弁解(アメリカ)」
[The Blood-Horse 2011年11月28日「KY Steward Veitch Dismissed; No Cause Given」]