海外競馬ニュース 2011年12月14日 - No.50 - 2
ホースメングループ、“パートナー競馬場”を視野に入れる(イギリス)[開催・運営]

 賞金額、競馬番組および競馬関係者のための施設に関して協力してきている競馬場は、ホースメングループ(Horsemen’s Group)から将来“パートナー競馬場”と位置付けされるだろう。また、ホースメングループによる新しい最低賞金額表の発表は11月に予定されている。

 ホースメングループは今年立ち上げたガイドラインが有効的に機能したと考えており、たとえ最低賞金額を完全には満たしていなくてもホースマンが“パートナー競馬場”として支持できるような、より洗練された最低賞金制度を要求している。

 ホースメングループのCEOアラン・モルコム(Alan Morcombe)氏は、次のように語った。「役員またはスポンサーを通じて賞金額に適切な資金提供を行っている競馬場を含む優良な競馬場は、将来“パートナー競馬場”とされるでしょう」。

「最終的には個々の判断ではあるものの、私たちは“パートナー競馬場”以外の競馬場を支持することをホースマンに勧めることはないでしょう」。

 新しい最低賞金額表は2週間後に発表される予定であり、変更される可能性もあるが、2012年平地競走シーズンのために見直されたガイドラインは含まれるだろう。

 レースが純粋に最低賞金額を満たすがどうか以外の基準によってもホースマンの支持が得られることは、評価の柔軟性を望む競馬場によって歓迎された。ただ、“パートナー競馬場”としての要件はその90%が最低賞金額を満たすことだろうと考えられている。

 この期待の一部は、2012年に増加するメディア権料に起因している。英国の60の競馬場は、メディア権料からこれまでよりも1,500万〜1,800万ポンド(約19億5,000〜23億4,000万円)多い利益を得ることとなっている。

 メディア権料収入はこれまで賞金に向けられることはなかったが、大半の競馬場は一部を賞金額に拠出することが道理に適うと考えるだろう、とホースマンは確信している。

 事態を複雑にする1つの要素は、追加されるメディア権料から大幅な利益を受ける競馬場や競馬場グループがあることである。アリーナレジャー社(Arena Leisure)は1,000万ポンド(約13億円)以上の増加を見込んでいるが、そうではない競馬場や競馬場グループもある。

 アリーナレジャー社は先日、競馬を全天候型馬場で施行する冬の期間、賞金に75万ポンド(約9,750万円)の追加的な資金提供を行うと誓約した。このことによって、全天候馬場で施行するレースの最低賞金額の縛りが緩和された。

 ホースメングループが競馬開催日により違いがあった以前のガイドラインの修正に同意したことで、この冬に全天候型馬場で施行されるすべてのレースは、最低賞金額を満たすことになる。

 モルコム氏は次のように語った。「全天候型馬場で施行されるレースの大半は、観客やスポンサーを惹きつけるというものではなくてブックメーカーの商品であり、ある一定の競馬開催日のために高いレベルのガイドラインを設けることは、目的に適いません。なぜなら全天候型馬場は水曜日よりも金曜日により多くの利益を得るというわけではないからです」。

「私たちは全体的により多くの賞金額とより質の高い競馬を維持します。たとえばウィンターダービーは再び総賞金10万ポンド(約1,300万円)のレースとなります。最低賞金額を見直すことは、ホースマンにとっても競馬場にとっても好都合でしょう。あらゆる角度からみて、これは良い取決めです」。 

 全天候型馬場に定期的に出走させている何人かの調教師は、低い賞金額で質の低い競馬を施行している競馬場に対して出走を留保している。しかし、モルコム氏は、「私はそのような対応を理解している一方で、大局的にみてそれには同意しかねます。賞金を増加させることに加えて、競馬の質を上げることはホースマンにとって非常に重要です。すべてが低いクラスのレースではたまりません」と付言した。

By Andrew Scutts
(1ポンド=約130円)

[Racing Post 2011年11月9日「Horsemen look for ‘partner’ courses」]