エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師がG1を2勝したケープブランコ(Cape Blanco)を含む4頭の出走馬をドバイワールドカップに登録したことが判明した1月14日、バリードイル勢(Ballydoyle)がドバイに6年ぶりに出走馬を送り込む見込みが高まった。
2005年にモハメド殿下(Sheikh Mohammed)とクールモア牧場率いるジョン・マグニア(John Magnier)氏の関係が悪化して以来バリードイル勢が回避してきた、ドバイワールドカップ開催の目玉である賞金1,000万ドル(約10億円)のドバイワールドカップ(G1)への出走登録馬が発表される際に、アイリッシュダービー(G1)とアイリッシュチャンピオンS(G1)を優勝したケープブランコの出走は、サプライズとして公にされるだろう。
2005年のドバイシーマクラシック(G1)で5着となったパワーズコート(Powerscourt)が、オブライエン調教師がドバイに遠征させた最後の馬となっていたが、2009年にはマイク・ド・コック(Mike de Kock)調教師が管理したフロントハウス(Front House)がG2競走を優勝し、ナドアルシバ競馬場でマグニア氏の妻スー(Sue)の勝負服は勝利を収めていた。
メイダン競馬場にバリードイル勢の馬が出走することは、モハメド殿下が“プライベートな事柄”と表現する競馬界の2大勢力間の閉塞状態のために、見込みのないことと考えられていた。
ドバイレーシングクラブ(Dubai Racing Club)のアイルランドの代表者であるマイケル・コリンズ(Michael Collins)氏は、2010年に次のように述べていた。「私は正直なところ、両者の諍(いさか)いが収まるまでは、バリードイル勢がドバイに馬を出走させるとは思いません」。
「パワーズコートはドバイシーマクラシックに出走しましたが、その後2大勢力の間に問題が生じ、それが解決するまではバリードイル勢の馬をドバイに呼ぶチャンスはあまりないと考えています」。
関係修復の明らかな兆候は見られないが、今回のマグニア氏の出走登録を許可する決定により、バリードイル勢からの出走馬を欠いていたことでドバイ競馬の地位をさらに向上させたいとの望みが妨げられていたモハメド殿下に、和解の印としてのオリーブの枝が送られたとの憶測を呼ぶだろう。
ケープブランコはドバイワールドカップに出走登録されると同時に、賞金500万ドル(約5億円)のドバイシーマクラシックにも登録されている。そしてドバイシーマクラシックには、現在カリファ・ビン・ハマド・アティーヤ(Kalifa Bin Hamad Al Attiyah)氏が所有しているジョシュアトゥリー(Joshua Tree)も1月13日の締切間際に登録された。さらに、アレクサンダーポープ(Alexander Pope)とマスターオブハウンズ(Master Of Hounds)はUAEダービーに登録された。
ドバイレーシングクラブの国際マネージャーであるマーティン・タルティ(Martin Talty)氏は、バリードイル勢の出走登録のニュースを事実であると認め、次のように語った。「アイリッシュダービーとアイリッシュチャンピオンSを制した優良馬のケープブランコがドバイワールドカップに出走登録したことは、素晴らしいことです。ドバイワールドカップはこのような質の高い馬に相応しいレースです」。
By Sarah Tregoning
(1ドル=約100円)
[Racing Post 2011年1月15日「Ballydoyle signals new era with first Dubai entries for six years」]