2008年に2冠を達成したビッグブラウン(Big Brown)を管理したリチャード・デュトロー(Richard Dutrow Jr.)調教師は、ニューヨーク州の薬物に関するルール違反を2回行ったことで90日間の業務停止処分を課せられた。
ニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board: NYSRWB)は2月16日、デュトロー調教師がアケダクト競馬場で管理していたファスタカクタス(Fastus Cactus)が2010年11月20日の第3レースの勝利後に薬物検査において鎮痛剤のブトルファノール(Butorphanol)の陽性反応を示したことをうけて、同調教師に60日間の業務停止処分を課した。せん馬であるファスタカクタスは最下位に降着となった。
NYSRWBはまた、皮下注射に使うことのできる器具を所持していたことに対しても、さらに30日間の業務停止期間を課した。これらの罰則は連続して受けなければならないので、デュトロー調教師は約3ヵ月間競馬から離れなければならなくなるだろう。
NYSRWBのスポークスマンであるジョー・マホニー(Joe Mahoney)氏は、この決定に対しデュトロー氏が異議申立てを行うと述べたことを明らかにした。異議申立てが受理されれば、いずれNYSRWBが聴取を行うだろう。異議申立てに決着がつくまで、同調教師は業務停止処分の執行が猶予されるだろう。
ブトルファノールはスタドール(Stadol)およびトーブジェシック(Torbugesic)の商品名で販売されている。これは北中米競馬委員協会(Association of Racing Commissioners International)の海外の薬物に関するガイドラインの第3類(Class III)に分類される。
ファスタカクタスは11月20日のレースの後、デュトロー調教師と馬主のジェームズ・リッチオ(James Riccio)氏から、オーナートレーナーであるナイポール・チャターポール(Naipaul Chatterpaul)氏の手に渡った。同馬はその後12月3日のアケダクト競馬場でのレースで優勝したが、今シーズン3走においては1勝もしていない。2010年にリッチオ氏とデュトロー調教師のために出走していた際、カクタスリッジ(Cactus Ridge)のせん馬である同馬は、7月にサラトガ競馬場で芝の良馬場約1,100 mを1分2秒51で駆け抜け、コースレコードを打ち立てていた。
管理馬ビッグブラウンはケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)を優勝し全米の注目を集めた一方、デュトロー調教師の長い業務停止処分は記録に残された。同調教師は2010年、北米の収得賞金ランキングで7位に入っていた。
By Frank Angst
[thoroughbredtimes.com 2011年2月16日「Derby-winning trainer Dutrow faces 90 days of suspensions」]