国立種馬場地域競技馬生産者協会(Association des éleveurs de chevaux de sport de la circonscription du Haras du Pin)とその会長フィリップ・マルタン(Philippe Martin)氏の提唱により、100人もの関係者が2月10日にオルヌ県にある国立種馬場(Haras du Pin)に集まり、その施設の将来について話し合った。フランス馬・馬術研究所 (Institut Francais du cheval et de l’ équitation:IFCE)のフィリップ・ド・ゲナン(Philippe de Guénin)所長の言葉を借りれば、せめてもの朗報は、“国立種馬場は存続し、売却されることはない”ということである。しかし、そこで種付事業が続けられるかは別問題である。[訳注:IFCEは2010年に国立種馬場と国立馬術学校(Ecole Nationale d'Equitation)が統合して生まれた団体]
研修、観光、イベントの拠点として地域の自治体の支援を得ている国立種馬場には、実際、大いに存在意義がある。25年ほど前に約100頭の種牡馬とあらゆる馬種を集めたこの施設が今後種付事業を続行できるかどうかは、これから明らかになる。ゲナン所長は、国立種馬場内で種付事業を担当する公益団体フランス種馬場(France Haras)が国から独立する責務を負っており、「考えられるシナリオは3つあります。それは、(1) フランス全土ですでに30件ほどが実行されようとしているような集団共有計画が本格的に開始されること、(2) 種付事業の民営化、(3) 国立種馬場における種付事業の終了です」と語った。
これらが現在囁かれていることであり、行政にすぐに対応してもらうことが必要である。国立種馬場の近隣のエクスメス郡選出であるオルヌ県議会のパトリック・ミュサ(Patrick Mussat)副会長は、次のように語った。「ゲナン所長のおっしゃったことに大変満足しており、集団共有計画に賛成する構えです。種付事業を民間に移行させる計画には徹底抗戦するでしょう。フランス国家が地域の人々と従順な顧客から国立種馬場の種付事業を取り上げ民間企業に引き渡すのは、大安売りするようなものです。買い手にとっては素晴らしすぎる贈り物にほかありません」。
ポール・エサルシアル(Paul Essartial)氏はバス-ノルマンディー地方馬評議会(Conseil des chevaux de Basse-Normandie)の議長として、オルヌ県とサンロー県の至宝である国立種馬場をどんな代価を払っても保持するために、あらゆる方面が満足しすべての馬種が護られる解決策を見つけ出すことをはっきりと主張した。ヨーロッパ・エコロジー(緑の党)に属し、バス-ノルマンディー地方圏議会の農業と馬産業を担当するフランソワ・デュフール(François Dufour)副会長は、「私たちは一丸となって取り組み、国土の整合性を保つ計画を発展させなければなりません」と語った。
つまり解決策が存在することを誰もが確信しているものの、それがどのようになるかは、あらゆる競技馬(繋駕競走、サラブレッド競走、馬術)の生産者が種牡馬を購買あるいは支援するためにそれぞれの協会を通じて団結することができるかどうかに掛かっているようだ。その解決策はまた、一株500〜2,000ユーロ(約5万5,000〜22万円)に設定予定の株を購入できる加入者約300人を見つけ出し、財政的に潤わせる力量を必要とする。
繋駕競走、平地競走および馬術の世界が一丸となり国立種馬場の種付事業を救うために、生産者が資金を出すことは可能にならないものだろうか?時間との競争は始まっている。結論は2014年末であり、近々に迫っているとも余裕があるとも思える。
国立種馬場とは
−ルイ14世が1715年〜1736年に “馬のヴェルサイユ宮殿”を作るべく創立した。
−2011年にはあらゆる馬種(サラブレッド、トロッター、ポニー、ペルシュロン、バルブ、ロバ)の440頭の繁殖牝馬に種付がなされた。
−以下の役割も担っている
・国立種馬場職人養成学校(馬具製造業者、装蹄師、障害飛越競技の若手騎手の養成)
・授精師・獣医師研修センター
・農学研究所(Institut de la Recherche Agronomique)の支所
By François Hallopé
(1ユーロ=約110円)
[Paris Turf 2012年2月12日「Le Haras du Pin n’est pas à vendre; la station d’ étalonnage, oui」]