2月21日に発表された鞭使用のルール変更に競馬界が反応したことで、これまで何回か繰り返された話題が再び持ち上がった。そして騎手の間では“最終的に常識が勝った”という意見が広がる一方で、調教師は競馬界が陥ったごたごたに憤慨した。
騎手が障害競走で9回、平地競走で8回鞭を使用した場合(いずれも制限回数を1回上回る)、自動的に騎乗停止処分となるのではなく、今後は裁決委員がその騎乗を精査するきっかけとなる、とBHA(英国競馬統轄機構)は2月21日に発表した。
また軽度であれ重度であれ違反が繰り返された場合、今後は罰則が累積されることはなくなるという罰則制度の抜本的な見直しもなされた。
このことについて、ゴールドカップを優勝したことのあるアンドリュー・ソーントン(Andrew Thornton)騎手は、次のように語った。「騎手協会(Professional Jockeys’ Association)のCEOポール・ストラザース(Paul Struthers)氏は10日程前に私を含む6名の騎手と会合を持ちました。そして私たちは皆、見直し全体の動きについて知らされてきたところであり、他のすべての騎手にも伝えました」。
「今般さらに多くの議論がなされましたが、秘密の会合ではありませんでした。私たちは皆このことを評価しています。前CEOのケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)氏はすべてをお膳立てするのに尽力し、ストラザース氏がそれを前進させました」。
「私たちの視点から考えれば、鞭使用の制限回数が機能しないことは証明されました。騎手は決勝線を超えるときにはレースを勝つことだけにひらすら集中しているのです」。
「有難いことに、常識が勝って、問題は今や解決されました。あたかも馬の福祉問題のように扱われましたが、決してそうではありません」。
ティミー・マーフィー(Timmy Murphy)騎手は、鞭使用ルール変更について次のように語った。「騎手たちは今回のルール変更にかなり肯定的です。私たちが望んでいたのは、誰かが私たちと共に取り組んでくれることであり、すべてを変更したり以前に戻ることを期待していた訳ではありません。私たちはわざとルールを破っていたわけではありませんので、罰則は大きな問題でした」。
「誰かが露骨にルールを破ったのであれば騎乗停止処分に値しますが、ただ馬を良く走らせようとするだけの些細なことではあれば、違った見方がされるべきでしょう」。
ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師、マーク・プレスコット(Mark Prescott)調教師およびファーディー・マーフィー(Ferdy Murphy)調教師らが今回の変更について見解を表明したが、そのうちのプレスコット調教師は、「今回の新しい鞭使用ルールが導入されても、とりわけビッグレースにおいては、制限回数の範囲内だと考えて行った鞭使用が結果的に制限回数を超過する事態が何度も起きてしまうでしょう」と語った。
「このことは今回のルールが怒りを静めようと意図していた反対派をさらに煽り立てることになるでしょう」。
プロの賭事客であるケン・ピターソン(Ken Pitterson)氏は2月22日に、ケンプトン競馬場において次のように語った。「私はこのことが正しい方向へ向かう第一歩と考えていますが、裁決委員がルールをどのように解釈するかについては問題の生じる可能性はあり得ると考えています。私は鞭使用回数を固定してしまうことはできないと思っています」。
By Richard Birch
[Racing Post 2012年2月22日「Jockeys: common sense prevails at last over whip」]