海外競馬ニュース 2012年04月26日 - No.18 - 2
トート社売却益を管理する競馬界の財団が設立される(イギリス)[開催・運営]

 昨年6月にベットフレッド社(Betfred)に売り渡された際のトート社売却益2億6,500万ポンド(約344億5,000万円)のうち競馬界の取り分9,000万ポンド(約117億円)を管理する大きな公益団体が新たに設立された。

 3月28日の文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport:DCMS)の発表によると、その9,000万ポンドの資金は競馬産業内の適切な申請者への国庫補助準拠の助成金として拠出される。

 EUの国庫補助ルールを遵守するならば、財源はつねに公益目的で計上されなければならず、賞金拠出に直接充ててはならないこととなっている。

 BHA(英国競馬統轄機構)の理事は、トート社売却益をどのように分配するかについてDCMSと数ヵ月にわたり協議してきたが、政府は、2週間前に新設された公益団体である“競馬財団”に第1回目拠出分の分割額1,000万ポンド(約13億円)を支払ったところであり、競馬産業は今後3年間にわたって1,000万ポンドずつを受け取ることとなっている。そしてその後については、全体拠出額の規模が歳出見直しの中で合意されることになる。

 “競馬財団”の運営とその助成計画の運用の方法について詳細は固まっていないが、これらの年間拠出額のうちの多くは、少なくとも今後4年間、新財団が得る利子を最大化できるよう一括金として積み上げる目的で財団に拠出される見込みである。その一括金の分配割合は、BHA会長の主宰する委員会がDCMSと協議して決定することになるだろう。

 BHA、競馬場協会(Racecourse Association)およびホースメングループ(Horsemen’s Group)の3つのメンバー機関からなる“競馬財団”は、競馬界の既存の公益団体と競合することはなく、むしろそれらの運営を補完あるいは支援するだろう。外部役員はまだ指名されていないが、会長には、ロジャー・ウェザビー(Roger Weatherby)氏が競馬福祉機構(Racing Welfare)会長を退いた後に指名されると見られている。

 国庫補助準拠の助成金交付対象の一例は、競馬界における訓練あるいは人材開発コースだろう。また負傷騎手基金(Injured Jockey’s Fund)や全英調教師連盟(National Trainers' Federation)のような競馬団体も、特定のプロジェクトを仕組みにあたり助成を申請することが可能となる。ただし厳正なルールに基づいて、助成に見合うものであることが求められるだろう。

 賭事を担当するジョン・ペンローズ(John Penrose)観光・文化・遺産大臣は次のように語った。「数十年取り組んできて昨年ついに実現したトート社売却によって、政府はブックメーカー事業から手を引くことになりました。政府は、競馬界が売却益の半分を受け取ることを約束し、今その約束を果たしつつあります」。

「競馬は、成熟して成功している非常に人気のあるビジネスです。本日の発表は、賭事産業と競馬界との賦課金取決めを改革しようとしている計画と一体となって、政府の不必要な干渉なしで競馬を繁栄させる更なる一歩となるでしょう」。

 BHAのCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、「私たちは、トート社の売却益がもたらすチャンスを、競馬界全体にとって有意義な遺産の創造のために生かそうと決心しています」と語った。

「このプロセスは主として国庫助成に関係するEUルールという強い制約下で進められますが、見込まれる9,000万ポンド(約117億円)は数年間にわたって受け取ることになるので、私たちは非常に長期的な観点に立っています」。

「競馬界は、拠り所のはっきりした持続的な収入と競馬産業全体にわたるプロジェクトを競馬にもたらしてくれる基金を確立したいと考えています」。

By Graham Green
(1ポンド=約130円)

[Racing Post 2012年3月29日「Racing Foundation created to handle share of Tote sale」]