ケイティー・ウォルシュ(Katie Walsh)騎手は、グランドナショナルにおいて父親のテッド調教師が管理するシーバス(Seabass)に騎乗することが4月7日に決定され、世界一有名なレースでの夢に見た初騎乗を手にしたことで、兄のルビー・ウォルシュ(Ruby Walsh)騎手に感謝の意を述べた。
ルビー・ウォルシュ騎手が4月7日、グランドナショナルでウィリー・マリンズ(Willie Mullins)調教師の管理するオンヒズオウン(On His Own)に騎乗することを選んだため、テッド氏は7連勝を果たして好調なシーバスへの騎乗をすぐさま娘に託した。
興奮しながらも緊張気味のケイティー・ウォルシュ騎手は、次のように語った。「私は土曜日が来るのが待ち遠しいです。グランドナショナルに騎乗することは非常にワクワクさせられることであり、私はシーバスに騎乗できることに本当に興奮しています。また同時に少しばかり神経質になっていますが、当然のことだと思います」。
「シーバスはレース序盤で余裕を持って走ると思います。同馬は素晴らしい障害馬ですが、ご存じのとおりグランドナショナルは運に左右されます。4マイル半(7200m)の距離を走ったことのない馬はシーバスだけではありません。この1週間ルビーにみっちりアドバイスをもらうつもりです。長くてエキサイティングな1週間になりそうです」。
シーバスがケイティー・ウォルシュ騎手に初騎乗での夢のグランドナショナル勝利を与えることに、16-1(17倍)のオッズがついている。彼女がグランドナショナルと同じフェンス(National fences)を飛越するのは3回目である。27歳の同騎手は、グランドナショナルと同じフェンスを初めて飛越した2010年トップハムチェイスではポムティエピー(Pomme Tiepy)が障害飛越時に転倒し、またこの独特な障害の2回目の飛越になる2010年グランドセフトンハンデキャップチェイスでは、父親が管理するバトルフロント(Battlefront)から落馬している。
娘が騎乗することを決断したテッド・ウォルシュ調教師は、次のように語った。「ケイティーはシーバスを知り尽くしており、今シーズン同馬でハンデキャップチェイスを2回制しています」。
一方、ルビー・ウォルシュ騎手のグランドナショナル3勝目の挑戦は、オンヒズオウンに掛かっている。同騎手が騎乗を依頼されたこと受けて、グラハム・ウィリー(Graham Wylie)厩舎の同馬のオッズは全体に大きく下がっている。
同騎手は4月7日のアイリッシュエグザミナー紙(Irish Examiner)において、シーバスがグランドナショナルに出走することについて慎重な発言をした。またオンヒズオウンの左回での能力について疑問が呈されているにも拘わらず、前走の内容を見ればグランドナショナルにおいても健闘すると考えている。そして、「ティエステスチェイスはこの馬にとって良い試走となりました。彼は飛越し、スタミナを保つでしょう。すべてのベッティングショップにおいて同馬の馬券が買われています」と語った。
オンヒズオウンは、ラドブロークス社(Ladbrokes)のオッズでは20-1(21倍)から10-1(11倍)に下がり、4月7日には、“Go Non-Runner No Bet(訳注:賭けた馬が出走取消または除外の場合、賭金が払い戻される馬券)”のみを発売していたベット365社(Bet365)、ブルースクエア社(Blue Square)およびスタンジェームズ社(Stan James)のオッズも14-1(15倍)から12-1(13倍)に下がっている。
ニーナ・カーベリー(Nina Carberry)騎手もケイティー・ウォルシュ騎手同様土曜日のグランドナショナルに騎乗予定で、ウィリアムヒル社(William Hill)はこの女性騎手が今年のグランドナショナルを制することに10-1(11倍)のオッズをつけている。また、この2人のうちどちらかが上位にくるかという賭けにおいて、ケイティー・ウォルシュ騎手に、11-10(2倍)のカーベリー騎手に勝る4-6(1.7倍)のオッズをつけている。
カーベリー騎手は、ベットフレッド社(Betfred)とブルースクエア社のオッズで25-1(26倍)から20-1(21倍)にオッズが下がっているオーガナイズドコンフュージョン(Organisedconfusion)に騎乗予定である。
昨年バラブリッグス(Ballabriggs)でグランドナショナルを制したドナルド・マケイン(Donald McCain)調教師は、チャーリーホールチェイス勝馬のウィアードアル(Weird Al)もグランドナショナルに昨年の優勝馬と共に出走すると発表し、同競走に2頭の管理馬を出走させることになる。
マケイン調教師は次のように語った。「ウィアードアルのチェルトナムゴールドカップの内容はがっかりするようなものでしたが、私たちはその敗因(出血したと伝えられる)は分かっています」。
「ウィアードアルは非常に調子がよく、いつもグランドナショナルに相応しい馬であると思ってきました。私は健闘すると思いますし、ティミー・マーフィー(Timmy Murphy)騎手が騎乗する予定です」。
チェルトナムゴールドカップ優勝馬シンクロナイズド(Synchronised)はオッズを下げ続けており、ブックメーカー各社は、同馬が一番人気でこのビックレースに臨むことに同意している。
4月6日に初めてベットフェア社(Betfair)の賭事で一番人気のオッズ11-1(12倍)をつけた後、4月7日に9-1(10倍)になっている。この数字は、市中のベッティングショップで取引されている8-1(9倍)よりもわずかに良いオッズである。
(注)2012年のグランドナショナルは4月14日に開催され、ケイティー・ウォルシュ騎手の騎乗したシーバスは3着となった。出走した40頭のうち完走はわずか15頭、優勝はネプチューンコロンジュでハナ差であった。
なお、昨年の2頭の予後不良事故により障害の難易度を下げる修正が行われたが、今年も悪名高い障害のビーチャーズブルックにおいて、昨年チェルトナムゴールドCで優勝したシンクロナイズドおよびアコーディングピートの2頭が転倒し、予後不良となった。
過去の女性騎手のグランドナショナル騎乗成績 | ||||
騎 手 | 馬 | オッズ | 成 績 | |
1977 |
シャーロット・ブリュー (Charlotte Brew) |
バロニ―フォート (Barony Fort) |
200-1(201倍) | 第4フェンス拒止 |
1979 |
ジェニー・へンブロー (Jenny Hembrow ) |
サンドウィラン (Sandwilan) |
100-1(101倍) | 第1フェンスで転倒 |
1980 | ジェニー・へンブロー | サンドウィラン | 100-1(101倍) | 第19フェンスで中止 |
1981 |
リンダ・シーディー (Linda Sheedy) |
デイオピア (Deiopea) |
100-1(101倍) | 第19フェンスで拒止 |
1982 |
ジェラルディン・リース (Geraldine Rees) |
チアーズ (Cheers) |
66-1(67倍) | 8着(最下位) |
シャーロット・ブリュー |
マーティンズタウン (Martinstown) |
100-1(101倍) | 第3フェンスで落馬 | |
1983 | ジェラルディン・リース |
ミッデイウェルカム (Midday Welcome) |
500-1(501倍) | 第1フェンスで転倒 |
ジョイ・キャリア (Joy Carrier) |
キングスプレース (King Spruce) |
28-1(29倍) | 第6フェンスで落馬 | |
1984 |
ヴァレリー・アルダー (Valerie Alder) |
ブッシュガイド (Bush Guide) |
33-1(34倍) | 第8フェンスで転倒 |
1987 |
ジャッキー・オリヴァー (Jacqui Oliver) |
イーモンズオーウェン (Eamons Owen) |
200-1(201倍) | チェア障害で落馬 |
1988 |
ジー・アーミテージ (Gee Armytage) |
ジーエー (Gee-A) |
33-1(34倍) | 第26フェンスで中止 |
ヴェネシア・ウィリアムズ (Venetia Williams) |
マーコロ (Marcolo) |
200-1(201倍) | 第6フェンスで転倒 | |
ペニー・フィッチ-ヘイズ (Penny Ffirch-Heyes) |
ヘッティンジャー (Hettinger) |
200-1(201倍) | 第1フェンスで転倒 | |
1989 |
ターニャ・デーヴィス (Tarnya Davis) |
ニュメレイト (Numerate) |
100-1(101倍) | 第21フェンスで中止 |
1994 |
ローズマリー・ヘンダーソン (Rosemary Henderson) |
フィドラーズパイク (Fiddlers Pike) |
100-1(101倍) | 5着 |
2005 |
キャリー・フォード (Carrie Ford) |
フォレストガナー (Forest Gunner) |
8-1(9倍) | 5着 |
2006 |
ニーナ・カーベリー (Nina Carberry) |
フォレストガナー | 33-1(34倍) | 9着(最下位) |
2010 | ニーナ・カーベリー |
キャラクタービルディング (Character Building) |
16-1(17倍) | 7着 |
2011 | ニーナ・カーベリー | キャラクタービルディング | 25-1(26倍) | 15着 |
2012年グランドナショナル結果 | ||||
1着 | Neptune Collonges | 中止 | Deep Purple | |
2着 | Sunnyhillboy | ハナ | 転倒 | Junior |
3着 | Seabass | 5馬身 | 落馬 | Chicago Grey |
4着 | Cappa Bleu | 7馬身 | 落馬 | Tatenen |
5着 | In Compliance | 2馬身3/4 | 転倒 | West End Rocker |
6着 | Ballabriggs | 2馬身1/2 | 落馬 | According To Pete |
7着 | Hello Bud | 3馬身3/4 | 転倒 | On His Own |
8着 | Tharawaat | 3/4馬身 | 落馬 | Always Right |
9着 | Shakalakaboomboom | 6馬身 | 落馬 | Rare Bob |
10着 | Swing Bil | 27馬身 | 落馬 | Organisedconfusion |
11着 | The Midnight Club | 22馬身 | 転倒 | Treacle |
12着 | Planet Of Sound | 14馬身 | 中止 | Mon Mome |
13着 | Neptune Equester | 24馬身 | 落馬 | Arbor Supreme |
14着 | Calgary Bay | 14馬身 | 落馬 | Killyglen |
15着 | Midnight Haze | 10馬身 | 転倒 | Quiscover Fontaine |
転倒 | Weird Al | 転倒 | Becauseicouldntsee | |
転倒 | Synchronised | 中止 | Postmaster | |
転倒 | Alfa Beat | 中止 | Giles Cross | |
落馬 | State Of Play | 転倒 | Viking Blond | |
転倒 | Black Apalachi | 拒止 | Vic Venturi |
By Lewis Porteous
[Racing Post 2012年4月8日「Seabass ride a National dream for Katie Walsh」]