ブリーダーズカップ協会(Breeders’ Cup Ltd.: BCL)は、11月2日〜3日にサンタアニタ競馬場で施行される今年のブリーダーズカップから発効する調教師の調教停止処分に関するルールを厳格化した。
BCLは2011年から“有罪調教師ルール”と呼ばれるものを改訂し、ブリーダーズカップの前年1年間に第1類薬物違反を犯した調教師に参加資格はないとする方針を採用している。
今回これが修正され、ブリーダーズカップの前年1年間において第2類薬物およびカテゴリーAの薬物違反を犯した調教師には少なくとも1年間調教停止処分が科されることになる。また、違反を繰り返した調教師は生涯調教停止処分を受けることになる、とBCLは4月5日に発表した。
この修正は、ブリーダーズカップ薬物委員会(Breeders’ Cup Medication Committee)の勧告を基になされた。
BCLのクレイグ・フレイヴェル(Craig Fravel)理事長は、「第2類薬物違反に対するこれら新ルールの制定は、私たちがブリーダーズカップにおいてレースの公正性を確保し、競走馬の福祉を保護することを第一の優先事項としていることの表れです」と語った。
また、 BCLの役員は、「この修正は、第2類薬物は競走馬には一般的に治療薬として認められないという北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)の分類指針を基にしています。第2類薬物は、時には濫用される可能性の高い治療薬です」と語った。
第2類薬物には、向精神薬、いくつかの神経系と心臓血管系の刺激薬、抑制薬および神経筋遮断薬が含まれる。注入可能な局部麻酔も、神経筋遮断薬として濫用される可能性が高いことからこの分類に含まれている。
出走意思のあるすべての馬は、検査対象馬とされた場合は血液ドーピングの調教中検査を受けなければならない。またすべての馬は、サンタアニタ競馬場の待機厩舎において2007年に初めて実施された“ミルクシェイク”に関するTCO2(全二酸化炭素)のレベルが検査される。
ブリーダーズカップのガイドラインにより、もし馬が血液ドーピング検査を受けなかった場合、その馬は出走資格を失い、調教師には調教停止処分が科される。また、TCO2の規定レベルを超える馬は、賞金を失い、調教師にも調教停止処分が科されることになる。
なお、ブリーダーズカップの出走馬のアナボリックステロイドの使用は、2008年からすでに禁止されている。
競走後の薬物検査は、1着〜4着馬および裁決委員により指定された馬に実施される。尿および血液サンプルには、競走能力を高めるとされるすべての薬物に関する“特別テスト”が実施され、治療薬が一定のレベル以下でしか使われていないことが確認される。
By The Blood-Horse staff
[The Blood-Horse 2012年4月14日「Breeders’ Cup Toughens Penalties For Drug Violations」]