海外競馬ニュース 2012年05月24日 - No.22 - 1
フランケル、10戦10勝を達成(イギリス)[その他]

 フランケル(Frankel)が戻ってきた。今回で4回目の対戦となる古くからのライバルであるエクセレブレーション(Excelebration)に楽勝し、まばゆいばかりの復帰緒戦をかざり驚くべき10戦10勝を達成した。

 オッズ2-7(1.29倍)の1番人気フランケルは、鞍上のトム・クウィリー(Tom Queally)騎手が仕掛けたときの反応は抜群で最終200メートルで先頭に立った。同馬はトップギアで加速し、エクセレブレーションはフランケルに全くついていけなった。ドバウィゴールド(Dubawi Gold)は3着にとどまった。

 この日は、カリド・アブドゥラ殿下(Khalid Abdullah)の所有馬フランケルが古馬として初めて出走する重要な日だった。夏にはもっと過酷な試練が待ち受けているが、競馬ファンは皆フランケルの復帰を楽しみに待っていたので、この午後の間じゅう素晴らしい雰囲気が醸し出されていた。幸いフランケル自身の走りの準備が十分だったようで、サー・ヘンリー・セシル(Sir Henry Cecil)調教師はファンをがっかりさせなかったことに大変安堵した。

 セシル調教師は、「彼は10日間調教を休んでいたので、簡単ではありませんでしたが、私たちは彼を乗り越えさせ、彼も私が期待どおりのことをしてくれました」と語った。

 最初少しかかったが、クウィリー騎手はペースメーカーでありフランケルの3/4兄であるブレットトレイン(Bullet Train)の後方を追走した。ブレットトレインはクウィリー騎手が仕掛けるまでレースをうまくリードした。

 エクセレブレーションは道中フランケルをマークし、楽に追走したが、今回のライバルのスピードにはついていけず大きく突き放された。着差は5馬身差で、ドバウィゴールドはさらにその4馬身後にゴールした。これらの馬の走りも悪くはなかったが、今回のフランケルの勝ちっぷりは申し分のないものであった。残りのシーズンの見通しはどうなのだろうか。

 クウィリー騎手はレース後に自身の騎乗に興奮していた。「フランケルはやや神経質になっているようでしたので、無事に本来の姿で戻ってきたことに本当に安心しました。これは皆にとって良い結果です。彼は競馬界にとっての財産です」と語った。

 そして、「フランケルは爆発的な力を見せました。私がこれまで騎乗した馬とは比較になりません。成長し体に厚みが出て、今や彼の実力は本物です」と付言した。

 フランケルとその調教師は、ウィナーズサークルに戻った時、観客の素晴らしい歓待を受けた。同馬は人々のハートを掴み、誰もが次のレースはいつになるのか知りたがっている。同馬にはロイヤルアスコット開催で出走する選択肢があり、次走がクイーンアンS(G1)で同じマイル競走になるのか、または、それよりも長い2000mのプリンスオブウェールズS(G1)になるのかが注目されている。

 セシル調教師は、「ロイヤルアスコット開催は2戦目となりますので、私たちは出走を考えたいと思います。フランケルはいつも初戦が最高の状態ではありませんので、次のレースではさらに上積みがあるでしょう」と語った。

 大手ブックメーカーのウィリアムヒル社(William Hill)は、フランケルがシーズン中の無敗に向けてクイーンアンSに出走しさらに優勝賞金を稼ぐことに対するオッズを7-4(1.75倍)から1-3(1.33倍)まで下げた。パディパワー社(Paddy Power)もまたその確率が高いとしている。誰がこれと反対の賭けをするだろうか?

 記録破りのオーストラリアのスプリンターであるブラックキャビア(Black Caviar)との対戦が話題となっている。しかし、この素晴らしい牝馬が競走距離を伸ばし怪物フランケルと対戦することを期待するのは間違いなく非現実的である。フランケルにとって最も大きな試練は、競走距離を伸ばすときとトップクラスの3歳馬より重い負担重量を背負うときだろう。彼の持久力はまだ試されたことがないということを覚えておこう。

By James Hill

(関連記事)海外競馬情報 2012年No.5「2012年のフランケルの挑戦(イギリス)」

[Racing Post 2012年5月19日「Brilliant Frankel makes it ten out of ten」]