海外競馬ニュース 2012年05月24日 - No.22 - 3
バンガー競馬場とチェスター競馬場、独自の賭事提供を開始(イギリス)[開催・運営]

 バンガー競馬場は、4月21日午後に4週間ぶりに競馬運営を再開するが、4,000人前後と思われる入場者にとっては間違いなくいつもの競馬と同じではないだろう。

 英国競馬の80年以上の歴史で初めて、トート社(Tote)の投票システムが競馬場から姿を消すこととなった。

 先月までずっとトート社の賭事プールで馬券を購入していた人々のニーズに応えてきた20の窓口があった場所に、新しい固定オッズ賭事ブランドの“バンガーベット”(bangorBET)がお目見えする。また移動販売人が、レストランや接待エリアにおいて携帯端末機からも賭事を提供する。

 “バンガーベット”は、バンガー競馬場の非開催時に試行された後で本格的にデビューし、姉妹競馬場であるチェスター競馬場とバンガー競馬場の経営陣が立ち上げる、英国初の競馬場独自の投票システムの一方を担うことになる。

 もう一方のチェスター競馬場のチェスターベット(chesterBET)は、5月の主要な3日間開催でデビューする。

 トート社(Tote)が昨年ベットフレッド社(Betfred)に売却された後、トート社の所有していた施設に関する各競馬場の契約は再交渉の対象となっていた。

 そしてチェスター競馬場とバンガー競馬場を運営する経営陣は、レーシングUK社(Racing UK)の所有する競馬場と話し合っていた競馬場メディアグループ(Racecourse Media Group: RMG)が満足の行く契約を提示しなかったことから、賭事運営を独自に行うことを決定した。

 ベットフレッド社と契約を交わしトートダイレクト社(Tote Direct)を通じて場内馬券を発売する方法も残されていたが、話合いは決裂した。

 しかし、トート社は2場からの全レースの賭事を引き続き提供し続け、チェスター競馬場を今後スクープ6の対象に含めるようである。ただし、本日からは、バンガー競馬場とチェスター競馬場に足を運び、トート社のプールで賭事を行うことを希望する競馬ファンは、口座の開設と携帯電話が必要となる。

 今回デビューした新しい固定オッズ賭事ブランドは、1レースを対象にした馬券から、重勝馬券、プレイスポット(Placepot : 6つのレースの複勝馬を的中させる投票法)に似た最後の6レースを対象とするイージーシックス(Easy Six)まで様々な賭事を提供する。

 競馬場によって採用される払戻率は明らかにはされなかったが、リチャード・トーマス(Richard Thomas)場長は、最終的な複勝の的中払戻金は、場内ブックメーカーの公式の発走前オッズによる払戻しよりも少ないようだが、それらはトート社のオッズと比べれば多いようだと語った。

By Howard Wright

[Racing Post 2012年4月21日「In-house betting debuts at Bangor」]