エプソム競馬場は、投資銀行のインベステック社(Investec)との英国ダービー(G1)に関する契約を前例のない10年間延長して英国競馬最大のスポンサー契約とし、 “最高額レース”の地位をチャンピオンS(G1)から取り返した。
2009年の英国ダービーの数週間後に、ボーダフォン(Vodafone)に代ってスポンサーとなったインベステック社は、今後2021年まで英国ダービーその他のレースを支援することになる。
これにより英国ダービーの賞金基金に7万5,000ポンド(約975万円)が追加され、6月2日に開催される同レースの総賞金は132万5,000ポンド(約1億7,225万円)となる。そして長期的には、今後さらに総賞金が漸増することが約束されている。
しかし、インベステック社の上席スポークスマンであるレイモンド・ヴァン・ニーカーク(Raymond van Niekerk)氏は、新しい契約が全体的にどれくらいの価値を持つかは明らかにせず、今回の賞金額の増大はチャンピオンSへのしっぺ返しを意図するものではないと述べた。
同氏は、「賞金額の増加はスポンサーの私たちにとって重要ですが、それ以上に英国ダービーとその出走馬の名声が重要なことです。私たちはダービーが他のレースによって輝きを失うことは望みませんが、かと言って賞金提供合戦に参加するつもりはありません」と語った。
そして、「私たちがエプソム競馬場に支払う金額は、英国ダービーとその広報宣伝向けの支出の一部に過ぎません」と付け足した。
インベステック社の支援は、すでにオークス、コロネーションカップ、そして4月25日に行われたダービートライアルに賞金増加をもたらしている。
ニーカーク氏は、当初5年としていた契約の4年目になぜ契約延長が合意されたかについて説明し、以下のように語った。「私たちは契約締結当初から長期契約を結ぶことを望んでいましたが、当時はそれが困難でした。契約期限切れが近くなって交渉すると時間との戦いになってしまいますが、それはおそらく双方にとって芳しいものではありません。したがって先のことを考えるには今がちょうど良い時期でした」。
最初の契約締結をリードしたインベステック社のバーナード・カンター(Bernard Kantor)社長は、「今回の長期契約によって、私たちの協力の可能性を高めることができ、そして、インベステック社の核となるブランド価値、つまり実行力、情熱、傑出した人材を英国ダービーと共有できる大きな機会が得られます」と語った。
カンター社長はまた、エリザベス女王の即位60周年記念式典の祝行事のスタートとなる今年のダービーデーが特別であるとし、「私たちはその一部を担うことを光栄に思います」と語った。
エプソム競馬場のルーパート・トレベリアン(Rupert Trevelyan)場長は、ソプラノ歌手のキャスリン・ジェンキンス(Kathryn Jenkins)氏の国歌斉唱で幕を開けるダービーデーが王室行事日程に組み込まれたために、入場券の売上げが増加していることを報告し、「女王陛下が観戦されるスタンドの指定席はすでに売り切れ、前売りの売行きは昨年を上回っています」と語った。
英国の高額賞金レース | |
レース名 | 総賞金 |
英国ダービー | 132万5,000ポンド(約1億7,225万円) |
チャンピオンS | 125万ポンド(約1億6,250万円) |
キングジョージ6世&クイーンエリザベスS | 100万ポンド(約1億3,000万円) |
クイーンエリザベス2世S | 100万ポンド(約1億3,000万円) |
グランドナショナル | 97万5,000ポンド(約1億2,675万円) |
By Howard Wright
(1ポンド=約130円)
[Racing Post 2012年4月26日「Record Investec deal puts Derby back on top」]