海外競馬ニュース 2012年06月07日 - No.24 - 2
アイルハヴアナザーのオニール調教師、TCO2検出で45日間の調教停止処分(アメリカ)[その他]

 ダグ・オニール(Doug O'Neill)調教師は、2010年に管理馬を出走させた際高いレベルのTCO2(全二酸化炭素)が検出されたことにより、45日間の条件付き調教停止処分および1万5,000ドル(約120万円)の過怠金支払いを言い渡された。

 この第3類薬物使用違反に対する罰則を決定するために、カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)は7日間にわたる意見聴取の後、審査官の勧告を承認した。CHRBの声明によれば、専務理事であるカーク・ブリード(Kirk Breed)氏が調教停止処分の開始時期を決定するが、2012年6月1日よりも早く科されることはない。

 オニール調教師は、ケンタッキーダービー(G1)とプリークネス(G1)を制したアイルハヴアナザー(I'll Have Another)の調教師である。アイルハヴアナザーは、1978年以来三冠馬を目指し6月9日にベルモントパーク競馬場で開催されるベルモントS(G1)に挑む。

 CHRBはオニール調教師の事案に対して勧告された決定を検討するために、5月24日にハリウッドパーク競馬場で非公開会議を開いた。

 そのなかで、全体で180日間の調教停止処分のうち135日間を猶予とすることを勧告した匿名の役員は、オニール調教師が禁止薬物ミルクシェイクを馬に投与してはいないとし、競走直前に馬に投与される重炭酸塩とアルカリ性物質の不法調合物であるミルクシェイクが今回のTCO2過多の原因ではないと考えた。

 調教師は馬の状態の絶対的な保証人であると考えるのではなく、CHRBのルールに基づいて、オニール調教師に罰則が与えられた。

 問題となった馬アージェンタ(Argenta)は、2010年8月25日のデルマー競馬場のレースで着外であった。レース前血液サンプルは1リットル中39.4ミリモルのTCO2が含まれていることが確認され、規定量である37.0ミリモルを大きく上回っていた。この検査はカリフォルニア大学デイヴィス校の馬研究所で実施されたもの。

 オニール調教師は過去3回管理馬からTCO2の規定量超過が確認されていたため、カリフォルニア州の現行の罰則ガイドラインに基づき最長180日間の調教停止処分が科された可能性があった。

 しかし、審査官は検査結果において、レースにおいて疑わしい賭事パターンはなかったと判断していた。そして、この件に関係してオニール調教師が計画的に行動した証拠はないと判断した。

 オニール調教師はこの決定に対して次のように語った。「私が馬にミルクシェイクを投与したり意図的行為をしたことによりTCO2の規定量超過に繋がった、とCHRBが判断しなかったことに満足しています。今後いろんな選択肢はありますが、現在のところ三冠を勝ち取る準備をすることに専念しようと思います」。

 なおCHRBによれば、審査官は処罰を決定するに当たって他の処分軽減要素も考慮した。

 オニール調教師は、過怠金に加えて45日間の調教停止処分を受けることになるが、追加的な135日間の調教停止処分については、オニール調教師が競馬管轄区を問わず今後さらに第1、2、3類薬物違反を犯さない場合は18か月間執行が猶予される、と審査官は決定した。

 オニール調教師は当初からこの件に関して無罪を主張してきた。そして、弁護士料に25万ドル(約2,000万円)を費やしたと語った。

 オニール調教師は以前AP通信に対して、「私は過失を犯してないことを確信しています。私たちの厩舎の周りでは誰も馬にミルクシェイクを投与しません。ルールは必要で私もそれを尊重しまずが、不完全な科学に巻き込まれたときには、残念ながら多くの費用が必要となります。しかし、それに立ち向かわなければならず、それが現在私たちが行っていることです」と語った。

By Jack Shinar
(1ドル=約80円)

[bloodhorse.com 2012年5月24日「O'Neill Suspended 45 Days in TCO2 Violation」]