NYRA(ニューヨーク競馬協会)の理事会は、5月22日に発表された取り決めに基づいてアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事と州議会のリーダーたちが選定するメンバーにより占められることになる。
NYRAの再編理事会の創設は、クオモ知事がNYRAをターゲットとしていることを示唆した数日後に、理事会メンバーによって満場一致で可決された。NYRAは、パリミューチュエル賭事の控除率に関する不祥事からアケダクト競馬場における馬の予後不良事故に至るまで、ありとあらゆることで非難されていた。
新しい理事会は3年後に解散することとなっており、競馬産業内従事者への影響は弱まるだろう。17人のメンバーからなる理事会は、クオモ知事任命の7名、州議会の上院・下院の各リーダーがそれぞれ選出する2名の計4名、NYRAの5名から成るようだ。
クオモ知事は、最終的に将来の理事会議長を決定することになる。また生産者とホースマンは引き続き理事会に投票権のない代表者を参加させる。
同知事は州管理について、「私たちは、政府が長期間にわたって管理するわけではないと認識しています」と語った。理事会は3年後に民間管理に戻される予定である。
困難な状況にも拘わらず、この合意が発表されたとき、両陣営で称賛があった。クオモ知事は、多くを提案し、その中にはNYRAからアケダクト、ベルモントパークおよびサラトガ競馬場の独占的な運営権を奪うことが含まれていた。
NYRA理事会のC・スティーヴン・ダンカー(C. Steven Duncker)議長は、「理事会の再編は、ニューヨーク競馬にとって最善の道であることは明らかです。ゲーミングがこのように変わりつつある時に、この再編は競馬界にとって最善の形と考えています。また、これは大きな取り決めであると考えており、州知事が支援している競馬産業にとって非常に重要なことだと思います」と述べた。
NYRAの理事会が頭に銃を突きつけられたように感じているかどうかを尋ねられたき、ダンカー議長は、「ノー」と応えた。
ニューヨークサラブレッド生産者協会(New York Thoroughbred Breeders)のバリー・オストラジャー(Barry Ostrager)理事長は、「ニューヨークのサラブレッド生産者たちにとって、クオモ知事が、ニューヨークの生産対策プログラムを支援し、競馬産業の回復により最近創出された雇用を維持・拡大するため、州が深く関与することを明言したことは大きな慰めとなりました」と語った。
現在のNYRAの理事会には25名のメンバーから成る。NYRAの会長としての任期が9月までのダンカー議長は、現在のNYRA理事会メンバーのうち新しい理事会にとどまる5名はまだ決まっていないと語った。
クオモ知事と州議会のリーダーたちも、選出について決定を下していない。新理事会がいつ発足するかも定かではない。変更を認める法案はまだ提出されておらず、2012年法案審議は6月に終了する。
新しい理事会は、一般メンバーの大半が任命された際に合法的な組織となる。クオモ知事は、新しい理事会が誕生する際NYRAの方針を大きく変更する可能性を排除しなかった。
新しい理事会の構成によって、エキゾチック馬券で850万ドル(約6億8,000万円)の過剰請求を引き起こした控除率の不祥事についての州監察総監室による調査に、どのような影響が出るかは定かでない。すでにチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)理事長と相談役のパトリック・キーホー(Patrick Kehoe)氏はこの件により解雇されている。そして、現在はかつてCFO(最高財務責任者)であったエレン・マクレイン(Ellen McClain)氏がNYRAの理事長に任命されている。
By Tom Precious
(1ドル=約80円)
[The Blood-Horse 2012年6月2日「NYRA Board of Directors Reorganized as State Asserts Its Power」]