アイルハヴアナザー(I’ll Have Another)の馬主J・ポール・レッダム(J. Paul Reddam)氏は、7月9日付のブラッドホース誌のブログ“ハンギン・ウィズ・ハスキン(Hangin' with Haskin)”に、同馬を1,000万ドル(約8億円)で日本に売却したと述べた。ブラッドホース誌の記者スティーヴ・ハスキン(Steve Haskin)氏が公表したこの記事への反応に対する意見を述べる機会を得て、レッダム氏は、クラシック2冠馬を引退させ種牡馬入りの契約を結んだ経緯について1500字の記事を作成した。
レッダム氏は、フラワーアレー(Flower Alley)産駒で今年のサンタアニタダービー(G1)、ケンタッキーダービー(G1)およびプリークネスS(G1)を制したアイルハヴアナザーに対して、米国の牧場からは2か所からの書面による売買申し込みがあったと語った。一つは、300万ドル(約2億4,000万円)の提示であり、もう一方は、レッダム氏自身が500万ドル(約4億円)と考える所有権の半分となる250万ドル(約2億円)プラス9口の生涯種付権利の提示であった。
しかし、ビッグレッドファームは、レッダム氏に1,000万ドル(約8億円)を提示し、もう1つの日本の牧場がそれに少し劣る金額を提示した。同氏は、売買申し込み額が米国の牧場のそれを上回り、同馬は日本で種牡馬入りした方が成功するチャンスがあると考慮し、アイルハヴアナザーをビッグレッドファームに売却した。
レッダム氏は、「米国での種付料は1万7,500ドル〜2万ドル(約140万〜190万円)とされていました。つまり、同馬の下には最高の繁殖牝馬を送り込まれず、成功するためのチャンスが与えられないということです。日本においては同馬には優れた繁殖牝馬が送り込まれ、成功するチャンスはより高まるでしょう」と述べた。
同氏はまた、アイルハヴアナザーの仔が腹にいる繁殖牝馬数頭を日本から購買し、それらの牝馬をカリフォルニアで出産させることを望んでいると語った。同氏はブログ読者にアイルハヴアナザーは日本で手厚く管理されるだろうし、アイルハヴアナザーを入手できる状況になれば買い戻すだろうと付言した。
レッダム氏は、「決定がこのような経緯を辿ったことを悲しく思い、突然のことで驚いています」と語った。同氏は、アイルハヴアナザーはベルモントS前日に“腱の断裂”と診断され、一部の人々が信じている屈腱炎よりもずっと深刻な状態であったと述べた。そして、アイルハヴアナザーを引退させる決断は1分足らずで下されたが、その決定は正しく威厳のあるものであったと付言した。
By Lenny Shulman
(1ドル=約80円)
[bloodhorse.com 2012年7月9日「Reddam: I'll Have Another Sale $10 million」]