州政府が運営を指揮しようとしており、その人気の高いサラトガ開催がまさに始まろうとしている中で、NYRA(ニューヨーク州競馬協会)は6月26日、新しい販売担当理事を州財政管理委員会に紹介した。
それは、マディソン・スクエア・ガーデン(ニューヨーク市にあるスポーツアリーナおよびエンターテイメント会場)とニューヨーク・ジャイアンツ(ニューヨーク市を起源とするアメリカンフットボールチーム)の元幹部ロッドネル・ワークマン(Rodnell Workman)氏であり、ニューヨーク州競馬の現在の販売促進に懸念を表明していたフランチャイズ監視委員会(Franchise Oversight Board)で紹介された。またNYRAは、アケダクト競馬場のスロットマシン収入を基にした設備投資計画についての詳細を提示した。
ワークマン氏がフランチャイズ監視委員会に現れたのは、アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事と州議会議員が少なくとも今後3年間は州がNYRA理事会を引き継ぐという法案を承認した1週間後のことであった。クオモ知事の指名者が指揮することになるだろう新しい理事会メンバーはまだ任命されていないが、7月20日から始まるサラトガ開催前に態勢が整うことが期待されている。
NYRAの幹部と現在の理事会が不安定な状態のままであれば、ベルモントパーク競馬場の新しい寄宿舎や新しい販売戦略の開発などに2,000万ドル(約16億円)の設備投資を行う計画は発表されなかっただろう。
パリミューチュエル賭事の控除率をめぐるスキャンダルに伴うチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)氏の解任後、NYRAの理事長に任命されたエレン・マクレイン(Ellen McClain)氏は、「ワークマン氏のような経験と才能のある人物を招くことが出来たことは非常に幸運です」と語った。
最近のテレビキャンペーンを含む最初の販売推進は、6月9日のベルモントS(G1)を軸として展開された。これはNYRAが今後長期にわたって行うテレビ広告への投資の第一歩である。しかし、NYRAは2つの広告にどれだけの費用が掛かったか発表せず、これらの広告の製作会社をすぐには明らかにしていない。
ワークマン氏は、とりわけ女性や若年層などの新しい顧客を惹きつけることが目標であると述べ、フランチャイズ監視委員会に向けて、「ニューヨーク州のNYRAおよび競馬界の両方に明るい未来が開けています」と語った。
しかし、フランチャイズ監視委員会のメンバーたちは、ワークマン氏の任務はNFL(アメリカンフットボールのプロリーグ)のチームプロモーション活動ほど簡単ではないと語った。
フランチャイズ監視委員会のメンバーであるリチャード・オーレリオ(Richard Aurelio)氏は、「新しい世代のファンを競馬場に呼ぶことに最も重点を置いているように思われます。
これはいかなる販売促進においても最優先事項であるべきです。しかし競馬は死にかけています。死亡欄を見るたびに、競馬ファンがいなくなっています。三冠競走のみを年間で唯一の競馬産業イベントにしてはいけません」と語った。
マクレイン氏は会合のあと、NYRA運営の複雑さを議論することを控えたが、州がNYRA運営を引き継ぐまで重大な決定が保留されるかどうかも明らかにしないだろう。しかし会合の中で同氏は、2,000万ドル(約16億円)の設備投資を含むいくつかの計画や、秋に期限切れとなるNYRAの現行パリミューチュエル契約などいくつかの新しい契約交渉への取組みについて説明した。
By Tom Precious
(1ドル=約80円)
[The Blood-Horse 2012年7月7日「NYRA Developing Marketing Strategy, Has $20 Million Capital Spending Plan」]