ベットフェア社(Betfair)は7月6日、ホースレーシングアイルランド(Horseracing Ireland:HRI)が、今年後半における政府の競馬産業に関する独立審査結果の発表までベットフェア社との話し合いは再開しないと主張したことを受けて、アイルランド競馬界に資金提供するという願望をあらためて表明した。
ベットフェア社は7月上旬に、英国競馬界に対して少なくとも4,000万ポンド(約52億円)を提供する契約をBHA(英国競馬統轄機構)と締結したが、アイルランドでは2010年2月以来レースのスポンサーを務めることさえ妨げられており、この状況は継続しそうである。
HRIのCEOブライアン・カヴァナー(Brien Kavanagh)氏は、BHAとベットフェア社の契約についてはコメントせず、ベットフェア社に対する立場は政府がアイルランド競馬の運営方法についての見直しを発表するまで変化することはないと述べた。
同氏はまた、インターネット賭事への課税を目指す賭事税法案が発表されるまでは、いかなる措置もとられないだろうと述べた。そして夏の下院議会の休会までその発表がないことは確定している。
ベットフェア社のアイルランドの地域担当マネージャーであるグラハム・ロス(Graham Ross)氏は、同様に見直しの発表を待っていると述べた。
また次のように語った。「2006年〜2008年にHRIに総額450万ユーロ(約4億5,000万円)を支払った任意契約が2009年前半に更新されなかったことから、私たちはアイルランドにおける来たるべきインターネット賭事税制の骨格を導入することに集中してきました。この税制が、効果的な規制制度と一体となれば前向きな一歩となるでしょう。ベットフェア社は利用者本位の解決策実施に向けて、関連省庁と引き続き連携しています」。
「ベットフェア社は、公正かつ持続可能な形で世間に認められアイルランド経済に貢献することに熱意を持っています。インターネット賭事からの税収の最適な利用方法を決定するのは政府の問題です」。
ベットフェア社は10年前に初めてアイルランドのレースへの支援を始め、その4年後にアイルランド競馬を対象とした賭事から全収入の10%を提供することに同意してアイルランド競馬界の支援を決めた。これにより、BHAとの契約よりも有利な条件で3年にわたって総額450万ユーロ(約4億5,000万円)が支払われることとなった。
ベットフェア社はBHAに対し、英国競馬を対象とした賭事からの英国の顧客による収入の10.75%を支払うことを約束したが、アイルランドに対しては、毎年アイルランド競馬を対象とした賭事全収入の10%を支払った。ベットフェア社によれば、その額は2008年におけるアイルランドの顧客からの収入の50%以上に相当する。
しかし、ベットフェア社がこの契約を更新しようとしたとき、HRIは倍の支払いを要求したが、ベットフェア社はそれを断った。
その後HRIは、ベットフェア社が価値の高い春開催の未勝利ハンデキャップチェイスのスポンサー契約を更新できないようパンチェスダウンズ競馬場に強く求め続け、さらに今年のゴールドカップをベットフェア社が支援するための交渉を成立寸前で頓挫させていた。
もしベットフェア社の任意支払いが続行されていたとすれば、同社は現在、アイルランド競馬に800万ユーロ(約8億円)以上を、そしてパンチェスタウン競馬場のフェスティバル開催に限っても、スポンサー契約と観客サービスにおいて少なくとも20万ユーロ(約2,000万円)以上を提供していただろう。
By Jessica Lamb
(1ポンド=約130円、1ユーロ=約100円)
[Racing Post 2012年7月7日「Betfair ambition to contribute towards Irish racing on hold」]