怪我のためにデューハーストS(G1)を回避したハーバーウォッチ(Harbour Watch)は、2011年平地競走の勝利数の新記録を打ち立てたリチャード・ハノン(Richard Hannon)厩舎に多くの勝利をもたらす原動力となるべく、2012年の英2000ギニー(G1)を目指すだろう。
ハノン調教師がウォルヴァーハンプトン競馬場においてグァヴァ(Guava)で挙げた勝利は、2年前にマーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師によって打ち立てられた216勝の記録を破る217勝目となった。ハノン調教師が最多勝調教師となったのは4回目であり、2010年に引き続き年間最多勝記録を保持することとなった。
ハノン調教師は12月11日、「私は新聞を読むまでは何も知りませんでした。私たちは素晴らしい年を過ごしました。延べ20頭以上の重賞勝馬を出し、ドバウィゴールド(Dubawi Gold)も本日、素晴らしい走りを見せました(香港マイルで4着)。私たちは2011年末までに出走させる馬はほんの少しで、あと2、3頭だけです」と語った。
ハノン調教師は、これまで目標を定めたことはなく馬自身のレベルに合ったやり方を好むが、来年出走する2歳馬と3歳馬には期待しており、デューハーストSの前に後肢に故障が生じた無敗馬ハーバーウォッチが今シーズン最初のクラシック競走にチャレンジすることに希望を持っていると述べた。ハーバーウォッチは英2000ギニーで現在1番人気に推されている。
同調教師は次のように語った。「目標を設定することは非常に危険で、流れに任せておくべきです。しかし、私たちは非常に素晴らしい2歳馬を預かっており、来年現役を続行する3歳の優良馬も数頭います。ハーバーウォッチは今や素晴らしい馬です。同馬は屋外で軽い運動をしています。最近のレントゲン診察の結果は良好で、獣医師たちは非常に満足しています。同馬はまだ若い馬ですので、このような故障は治ります」。
「春には復帰できることを望んでいます。おそらくステップレースには出走しませんが、英2000ギニーには出走するでしょう。計画を立てることはできません。流れに任せるのみですが、私たちの獣医師は非常に満足しており、良好に治癒しつつありすべてがうまく行っていると考えています」。
「故障が発生したときはどのようになるか分かりませんでした。ひどい故障ではありませんでしたが、ただ同馬が跛行してしまうほどで、骨折部分にネジを埋め込みました。今や良好で素晴らしいです」。
リチャード・ハノン調教師の英国平地競走での年間217勝というこの記録は、自身が以前2度記録したことのある最多勝記録を再び更新した。
12月10日まで、英国の1年間における最多勝記録は、2009年にマーク・ジョンストン調教師が打ち立てた216勝であった。ハノン調教師はこれまで、1993年と2008年にも最多勝記録を塗り替えている。
ハノン調教師が1993年に初めて最多勝記録を打ち立てる前の最多勝は、1987年にヘンリー・セシル(Henry Cecil)調教師が記録した180勝であった。この1993年はハノン調教師が2度目の最多勝調教師となった年であり、リスキー(Risky)とフォーフォーファン(Fourforfun)の両馬が5勝ずつ挙げたことで182勝を挙げた。また同年にはチャンピオン2歳牝馬のレモンスフレ(Lemon Souffle)も管理していた。
同調教師は2008年、フランスのG1競走も制したパコボーイ(Paco Boy)を含む管理馬6頭が4勝ずつを記録しトータル189勝を挙げて自身の記録を破った。翌年ジョンストン調教師にその記録は破られるが、それは結局一時的なものとなった。
2011年の最多勝記録に最も貢献したのは、クレーミング競走出走馬のエイヴォンリヴァー(Avon River)であり、シーズン当初から以降5勝を挙げた。また管理馬の中で最高の馬キャンフォードクリフス(Canford Cliffs)は2勝を挙げた。同馬は1歳馬セールでの買値は安かったが、レーティング(レーシングポスト紙で130を記録)とG1勝利数(5勝)の両方でトップとなった。
ハノン調教師の英国最多勝記録には、ディックターピン(Dick Turpin)のイタリアでのヴィットーリオディカープア賞優勝など海外での勝利は含まれていない。
英国競馬全体での競馬シーズン最多勝記録は、1999年から2000年の障害競走シーズンにマーティン・パイプ(Martin Pipe)調教師が挙げた243勝で、世界記録は2009年に米国のスティーヴ・アスムッセン(Steve Asmussen)調教師が打ち立てた650勝である。
ハノン調教師が今年も2歳馬の活躍を期待していることは、同調教師が2歳限定レースにおいて1993年と2009年にそれぞれ98勝、2010年に120勝、2011年12月12日までに125勝の4回英国記録を達成している事実から裏づけられる。
ハノン調教師は4回目の最多勝調教師になったが、同調教師が英国史上最も勝利を量産する調教師であることは知られていないため、なぜかあまり大きく称賛されることはない。
同調教師は、2009年にセシル調教師の生涯勝利数を超えて以来英国の平地競走での生涯最多勝記録を保持しており、1970年からの記録は3600勝以上に上る。
英国競馬史上の勝利調教師ランキングにおいてハノン調教師は、その4183勝の大半を国内の障害競走で達成したパイプ調教師に次いで2位である。ハノン調教師の1日前に生まれたパイプ調教師も、質ではなく量で同僚を上回った。
英国平地競走最多勝記録の更新 | |||
1867年 | 146勝 | ジョン・デー(John Day jnr)調教師 | ハンプシャー州デインベリー拠点 |
1987年 | 180勝 | ヘンリー・セシル(Henry Cecil)調教師 | ニューマーケット拠点 |
1993年 | 182勝 | リチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師 | ウィルトシャー州イーストエヴァーライ拠点 |
2008年 | 189勝 | リチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師 | ウィルトシャー州イーストエヴァーライ拠点 |
2009年 | 216勝 | マーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師 | ノースヨークシャー州ミドルハム拠点 |
2011年 | 217勝 | リチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師 | ウィルトシャー州イーストエヴァーライ拠点 |
By John Randall
[Racing Post 2011年12月12日「Record-breaker Hannon believes Harbour will line up in Guineas」]