海外競馬ニュース 2012年09月27日 - No.40 - 1
ドイツの優良種牡馬モンズーンが22歳で死去(ドイツ)[生産]

 欧州の生産者は、9月11日に欧州最高の種牡馬の1頭であるモンズーン(Monsun)の死に衝撃を受けた。

 ケーニヒスシュトゥール(Konigsstuhl)産駒のモンズーンは昨年失明し、また深刻な神経疾患を患って、長年繋養されていたドイツのケルン近郊のシュレンダーハン牧場(Gestüt Schlenderhan)で、安楽死させられた。22歳であった。

 モンズーンは、G1馬14頭を含む重賞勝馬51頭を送り出した。その中には2007年の世界チャンピオンであるマンデュロ(Manduro)、BCターフ(G1)を制したシロッコ(Shirocco)、フランスと米国でG1を6勝したスタセリタ(Stacelita)がいる。

 モンズーンの影響力は、産駒のエスティメイト(Estimate)とエナジャイザー(Energizer)がそれぞれクイーンズヴァーズ(G3)とターセンテナリーS(G3)を優勝した、今年のロイヤルアスコット開催で強く感じられた。また同馬は、ゴールドカップ(G1)勝馬カラービジョン(Colour Vision)のブラッドメアサイアーでもある。

 エスティメイトは、カイラニ(Kailani)およびモンシャック(Monshak)と合せて9月13日のパークヒルSの出走予定馬の3分の1を占めるモンズーン牝馬3頭のうちの1頭である。彼女らの対抗馬のなかには、シロッコ産駒のワイルドココ(Wild Coco)がいる。

 モンズーンは優秀なブラッドメアサイアーとしても浮上している。カラービジョンはモンズーンの牝馬を母とするG1馬3頭のうちの1頭である。その他は、今年のドイツの最優秀3歳牡馬パストリアス(Pastorius)と、かつてドイツの年度代表馬となったナイトマジック(Night Magic)である。

 マンデュロは初年度産駒からG1勝馬マンダエアン(Mandaean)を送り出しており、一方シロッコは4頭の重賞勝馬のほかセントレジャーS(G1)で2着であったブラウンパンサー(Brown Panther)を送り出している。

 モンズーンのサイアーラインは、障害競走の分野においても強く期待されている。モンズーンの牡馬ネットワーク(Network)は、見る者をワクワクさせるスプリンターサクレ(Sprinter Sacre)とG1勝馬のルビーライト(Rubi Light)とセントエア(Saint Are)を送り出している。

 クールモア牧場(Coolmore)は、障害競走の種牡馬としてモンズーンの牡馬ゲッタウェイ(Getaway)を繋養している。一方ダーレーは、オーバーベリースタッド(Overbury Stud)にスキャパレリ(Schiaparelli)を繋養している。

 イザーラント牧場(Gestüt Isarland)で生産されたモンズーンは、1990年に生産されたドイツ馬の由緒ある産駒の1頭であり、同厩馬であるランド(Lando)やシュテルンケーニッヒ(Sternkonig)は良きライバルであった。

 ハインツ・イエンチ(Heinz Jentzsch )調教師に管理され、ゲオルク・フォン・ウルマン男爵(Baron Georg von Ullmann)によって所有されたモンズーンは、ドイツダービーでランドに敗れたが、その後2200mのドイツのG1競走を3連勝した。

By Martin Stevens

[Racing Post 2012年9月12日「Outstanding German sire Monsun dies aged 22」]