制定されれば、競馬場と場外馬券発売所でプロおよび大学のスポーツイベントを対象とした賭事を受け付けることとなっただろうカリフォルニア州の法案は、今年は棚上げとなった。
カリフォルニア州下院の歳出委員会は8月17日、現在の法律制定議会が会期末に近づいたため、審議に入れなかった数十の法案の1つであるこの法案の制定を延期した。民主党のロデリック・ライト(Roderick Wright)上院議員が2月に提出したこの法案は、上院で5月29日に33対2で可決されていた。
この法案は、競馬場と場外馬券発売所、そして先住民が運営するカジノとポーカークラブ(card clubs)で、スポーツイベント賭事を可能にするものであった。それらの賭事に関する連邦政府の禁止が、1992年プロ・アマスポーツ保護法(1992 Professional and Amateur Sport Protection Act)に基づいて議会で変更されるか裁判所で逆転されなければ、この法案は制定されることはない。
同様の法案がニュージャージー州では可決された。同州はスポーツ賭事の提供がネヴァダ州、デラウエア州、オレゴン州およびモンタナ州の4州でしか認められていない現行の連邦規制に対して異議を申し立てると見られている。
選挙区にハリウッドパーク競馬場があるライト氏は、カリフォルニア州の住民は州を超えることなくスポーツ賭事を行う権利を持つべきであり、このことが競馬場の入場者数を増加させると同時に予算不足に苦しんでいる同州に雇用と新しい収入源を創出すると確信しており、この法案を提出した。
この法案は、カリフォルニア州警察署長会(California Police Chiefs Association)から反対を受けている。また、スポーツ賭事を許容する計画に関して、全米学生選手協会(National Collegiate Athletic Association)とともにニュージャージー州を連邦裁判所に訴えた4つの主要プロリーグも、異議を唱えると思われる。いくつかの先住民が運営するカジノにも懸念を表明した。
一方、この法案は、サンタアニタ競馬場、デルマー競馬場、ゴールデンゲートフィールズ競馬場、オークツリー競馬協会(Oak Tree Racing Association)、カリフォルニア・サラブレッド馬主会(Thoroughbred Owners of California)、カリフォルニア・サラブレッド生産者協会(California Thoroughbred Breeders Association)およびカリフォルニア州競馬公正機構(California Authority of Racing Fairs)の代表者などをメンバーとする産業連合であるホースレーシングユナイテッド(Horse Racing United: HRU)によって強く支持されている。
デルマー競馬場の開発担当の上級副理事長で、HRUのスポークスマンでもあるジョシュ・ルーベンスタイン(Josh Rubenstein)氏は、次のように語った。「州議会を弁護するわけではありませんが、法案を棚上げにするに当たってスポーツ賭事に対する政治情勢が懸念されたことは明らかです。彼らは、この問題に対処する前に、ニュージャージー州で見られたその種の先行き不安が自然に解決することとなるよう様子を見ているのです」。
サンタアニタ競馬場のCEOマーク・ヴァージ(Mark Verge)氏は、「今回の延期はがっかりさせられるニュースですが、私たちは引き続きスポーツ賭事に対して賭事商品を提示していくつもりです。フットボールは私たちの販売促進の一部となりますし、シミュレーションゲームであるファンタジーフットボールなどの関心を引き寄せます」と語った。
そして、「人々はフットボールを見るのも賭けるのも大好きなのです」と付言した。
By Jack Shinar
[The Blood-Horse 2012年8月25日「Sports Betting Legislation Stalls in California」]