メイトロンS(G1)でチャチャマイディー(Chachamaidee)に短クビ差で先着し1位入線したが、走行妨害により降着とされたダントル(Duntle)の関係者が10月4日に不服申し立てをおこなったが、その過程で同レースの施行時にパトロールカメラが不適切な位置に設置されていたことが判明した。
ダントルを管理するデヴィッド・ワッシュマン(David Wachman)調教師と馬主のニアルコス・ファミリー(Niarchos family)の要求したヒアリングが、カラ競馬場のターフクラブ(Turf Club)本部で長時間にわたって行われた結果、裁決委員の決定は変わらなかった。
この議論は、ターフクラブの不服審理委員会で3時間半にもわたって繰り広げられた。不服審理委員会は、委員長を務める判事のフランク・クラーク(Frank Clarke)氏のほか、ジョン・モロニー(John Molony)氏、ゴールウェイ競馬場の場長で元アマチュア騎手のコリン・マグナイア(Colin Magnier)氏で構成されていた。
メイトロンSはレパーズタウン競馬場の外回りコースで施行されることとなっていたが、ターフクラブのCEOデニス・イーガン(Denis Egan)氏の言う“人的ミス”により、裁決委員が使用するパトロールカメラは内回りコースに設置されたままとなっていた。そして適切な位置に移動されたのは事後であった。
ダントルの関係者の代理人を務める弁護士のフランク・ウォード(Frank Ward)氏は、カメラの設置場所に焦点を当て、レパーズタウン競馬場の裁決委員が参考にしたカメラアングルに関してテレビプロデューサーのエディ・ウィリー(Eddie Wiley)氏をカメラ専門家の証人として呼んだ。ダントルに騎乗したウェイン・ローダン(Wayne Lordan)騎手や1着に繰り上げられたチャチャマイディーに騎乗したトム・クウィリー(Tom Queally)騎手、6着となったアランザ(Alanza)に騎乗したシェーン・フォリー(Shane Foley)の証言も聴取された。
3名の騎手は、ゴールまで約1ハロン(約200m)の位置で発生しダントルを2着に降着させた走行妨害とその原因に対して、さまざまな意見と解釈を持っていたが、フォリー騎手はローダン騎手を支持する証言をした。
しかし、パトリック・ケネディー(Patrick Kennery)弁護士が代理人となっているクウィリー騎手は、直線でダントルが右によれてアランザを押しチャチャマイディーにぶつかってきたことにより不利を受けたとして譲らなかった。
不服審理委員会の決定を言い渡すに当たって、クラーク判事は、不服審理委員会と競走当日の裁決委員にとってカメラアングルが決して理想的とは言えなかったことを認めたが、決定はビデオ証拠と騎手の証言に基づいてなされなければならないと付言した。
同氏は次のように続けた。「部分的とは言えダントルによって走行妨害は実際になされたことを確信しています。チャチャマイディーに関しては、走行妨害を受けたために騎手が意図したよりも大きく進路を変えなければならなかったと感じました」。
「私たちは走行妨害によって着順に影響を与えたと考えており、裁決委員の決定のとおりとしました」。
ワッシュマン調教師がこの結果についてコメントを控えた一方で、長い聴取のために英国へ帰る飛行機に乗り遅れたクウィリー騎手は、「私はレパーズタウン競馬場の裁決委員の決定どおりであったことに満足しています」と述べた。
By Tony O’Hehir
[Racing Post 2012年10月6日「Camera error as Matron verdict upheld」]