競馬ファンは10月10日、単勝馬券の控除率を3%引き上げ16.5%とするトート社の決定を酷評した。多くの賭事客は、釣銭をごまかすようなものであると感じている。
10月22日から9年ぶりに実施されるこの単勝馬券控除率の3%引き上げに対しては、10月10日の競馬開催で多く人々が否定的な意見を述べた。
スポルディングから来ていたノッティンガム競馬場の常連客で70歳のピーター・ボースト(Peter Borst)氏は次のように語った。「私は55年間競馬場に通っていますが、これは賭事客から搾取する新しい方法です。トート社で賭事を行わない動機になるだけではなく、競馬に行かなくなるもう一つの理由となります」。
ルドロー競馬場では、マーヴィン・スミス(Mervyn Smith)氏が同様の懸念を口にした。「私は定期的に場内のトート社で賭事を行っていますが、今回の措置は全く思慮の足りない決定で、賭事客に対する更なる酷い仕打ちだと思います」。
そしてシロップシャー競馬場において、ダッドリーからやって来たヴィヴィアン・ベセル(Viviane Bethel)氏は次のように語った。「私はいつもトート社で少額の賭事を行っていますが、彼らが単勝馬券プールからより多くお金を控除するというニュースは決して朗報ではありません。そのお金はどこに向かうのでしょうか?競馬に還元される様子はありません」。
しかし、シェフィールドから来た44歳の賭事客アンディ・マックラム(Andy Macklam)氏は、この措置に対して不快な感情を持っておらず、ノッティンガム競馬場で次のように語った。「大穴を狙ったり、プレースポット馬券やジャックポット馬券を買うとするならば、まだ儲けはあると思います。堅い馬券を買っている人は控除率引き上げをより感じるかもしれませんが、穴馬や高額配当狙いの人々はトート社に常に多額を支払っているのです。私は20%の控除率ならば違った感じを持つかもしれませんが、16.5%であれば何とか対処できます」。
ノッティンガムから来た65歳のロン・スティーブンソン(Ron Stevenson)氏は、この決定が賭事客たちをパリミューチュエル賭事から遠ざけ固定オッズ賭事に向かわせる可能性があると感じている。
同氏は、「彼らは業績を好転させようとしているのでしょうが、その本質は賭事客の利益幅の切り崩しです。トート社の目的には適いますが、控除率が引き上げられれば、ブックメーカーが提供する固定オッズ賭事を利用する更なる理由になってしまいます」と語った。
長引いたトート社買収レースを6月に勝ち抜いたベットフレッド社の創設者フレッド・ダン(Fred Done)氏は10月10日、賭事客がまだ儲けを手にできると感じさせるために行動した。
ダン氏は、「トート社の単勝の払戻率は、これまでスターティングプライスでの払戻しよりも9%ほど上回っていました。今回の控除率引上げで単勝払戻率は少しばかり下がりますが、まだ買い得感はあります」と語った。
また同氏は、「賭事客は、今後トート社が資金の流動性を高めるために海外からの資金投入を促進する結果賭事市場が不安定ではなくなり、市場から恩恵を得ることになるでしょう」というトートプール社のフィル・シーア(Phil Sier)社長の主張を繰り返した。
同氏は次のように付言した。「賭事プールを増強するために外貨を呼び込むことのできる国際協定を導入したいと考えています」。
チャンネル4の賭事評論家であるジョン・マクリリック(John McCririck)氏は、「このニュースにはがっかりさせられます。3%の控除率引き上げは恥ずべきことです。翌年さらに3%引き上げることはないと誰が言えるでしょうか?これは賭事客から血を吸い取るようなものです」と語った。
By Andrew Dietz
[Racing Post 2012年10月11日「Racegoers’ anger at Tote deductions hike」]