昨年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)と今年のエクリプスS(G1)で圧倒的な強さを見せて優勝したナサニエル(Nathaniel)は競走生活から引退した。そしてシンジケートが組まれ種牡馬入りする。
国際的な成功を収めている種牡馬ガリレオ(Galileo)を父とし、マグニフィシェントスタイル(Magnificient Style父:シルヴァーホーク)を母とするナサニエルは、欧州の最高峰の2レースを制し、230万ドル(約1億8,400万円)以上の収得賞金を獲得して種牡馬入りする。同馬はニューセルズパーク牧場(Newsells Park Stud)で繋養される。
ロンドンサラブレッドサービス社(London Thoroughbred Services)のジェームズ・ウィガン(James Wigan)氏は、このシンジケートについて、「ナサニエルは過去2年間スター馬として活躍し、戦績は非常に強い印象を与えるものです。世界最高の種牡馬を父とし、母馬は3頭のG1馬と8頭のステークス勝馬を送り出しています。加えて素晴らしい馬格を持った見栄えの良い馬で、信じられないほど魅力のある種牡馬としての可能性を秘めています」と語った。
そして次のように続けた。「ナサニエルの馬主は、生産者たちが大きな期待を寄せるものと確信しています。生産者たちは極めて大きな可能性を持つ種牡馬を共有することになるでしょう。このタイプの種牡馬は従来、クールモア牧場、ダーレー牧場あるいはジャドモント牧場がほぼ独占的に手中にしていました。欧州の一流生産者はすでにナサニエルに大きな興味を示しており、他の多くの人々もこのシンジケート計画に参加する情熱を共有していると思われます」。
ニューセルズパーク牧場の場長ジュリアン・ドラー(Julian Dollar)氏は次のように付言した。「私たちはナサニエルのような馬を我々の牧場に繋養できることを非常に光栄に思っており、同馬は期待どおり私たちやロトシルト家(Rothschilds)から多大な支援を受けるでしょう。同じ考えを持った生産者たちを強力なシンジケートに勧誘するアイデアは非常に魅力的で、ナサニエルが種牡馬として成功するために必要です」。
ナサニエルは2010年8月の新馬戦でフランケルの1/2馬身差2着でゴールしてから常に、3シーズンを通じてトップクラスの競走馬であった。今年の10月20日のチャンピオンS(G1)でフランケルの3着となり、競走生活を締めくくった。同馬は、今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでデインドリーム(Danedream)の鼻差の2着で、あと一歩のところで2年連続勝利を逃した。また、昨年キングエドワード7世S(G2)も制している。
ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は、「ナサニエルは私が管理した最高の牡馬の1頭でした。とてもタフで、勇気があって、万能で、馬場状態に関係なく10ハロン〜12ハロン(約2000m〜2400m)で力を発揮しました。しかし、3歳時のキングジョージにおける見事な勝利に見合った評価を与えられていると思えません」と語った。
「また、4歳シーズンの初めにエクリプスSを優勝し、その後わずか2週間後に連勝すべく挑んだキングジョージでデインドリームに鼻差で負けた時にその戦う素質を見せつけました。9月にアイリッシュチャンピオンS(G1)でスノーフェアリーの2着となった際のタイムもかなり速かったことは注目すべきことです。おそらく今年の凱旋門賞(G1)はナサニエルに向いたレースであったのかもしれませんが、同馬はアスコット競馬場で再びフランケルと対戦し、彼に負けず劣らずの能力と勇気を見せつけました」。
ナサニエルはアイルランドのキンコースインベストメント社(Kincorth Investments)生産で、馬主はロトシルト夫人(Lady Rothschild)とニューセルズパーク牧場。同馬の母馬マグニフィシェントスタイルは、プレイフルアクト(Playful Act)とグレートへヴンズ(Great Heavens)の2頭のG1馬を出しており、グランドナショナルハードルS(G1)勝馬パーカッショニスト(Percussionist)も出している。
By Blood-Horse Staff
(1ドル=約80円)
[bloodhorse.com 2012年10月29日「Nathaniel Retired, to be Syndicated」]