ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師とエイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師は、ブリーダーズカップ協会(Breeders’ Cup Ltd.: BCL)が来年のブリーダーズカップでラシックス(Lasix)の使用を禁止する計画への支持を表明した。オブライエン調教師は、米国調教師が大いに異議を唱えたこの措置を“前向き”と評した。
この2人の欧州の有力調教師は、米国の同業者の見解に共感は表明したものの、今週行われるブリーダーズカップの5つの2歳限定レースで抗出血剤の使用が禁止されるため米国内で反発を招く可能性のある禁止方針を全面的に支持した。
サンタアニタパーク競馬場で調教キャリアを開始したジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は、「ラシックスは依存物となりますし、また馬体重を減らすことができ、毛細血管への圧力を減らすので馬の能力を高めることは間違いありません。馬を速く走らせるための薬物です」と語った。
「ここ6〜7世代の米国馬は非常に強い薬物を投与されてレースに出走しており、これは問題です。アメリカのサラブレッドが昔のように強靭な生き物ではなくなっていることは私たちにとっての懸念となっています。薬物を使用されていなかった頃は、かなり強靭な馬がいました」。
「ブリーダーズカップは抵抗を試みています。彼らは血統の純化をはかるためにそうしており、私はそれがなぜだかよく分かっています。ワールドチャンピオンシップと言われる開催を行うのであれば、おそらく薬物投与のない大会にすることが必要です。私にはその道理が分かりますが、米国の調教師の“長年使用してきたのにラシックスをなぜ禁止するのだ”という主張も理解できます」。
伝説的な米国人調教師ボブ・バファート(Bob Baffert)氏は今週、ラシックスはカリフォルニアでは競走の4時間前に投与されており“人道的”であると語り、またカナダのトップ調教師マーク・カス(Mark Casse)氏は、薬物禁止を“競馬を阻害するもの”と述べた。
しかし、ブリーダーズカップ競走を10勝している欧州のオブライエン調教師は、「取るべき措置は前向きのものでなければならず、薬物禁止措置は疑いなく正しいことです。BCLの勇気ある措置でした」と語った。
そして次のように続けた。「馬の能力を曇らせる要素を払拭することになるので、サラブレッド生産界全体にとって薬物は少ないほど良いのです。しかし、薬物投与は米国の文化の一部となっており、また多くの馬が強い調教を施されたときに鼻出血を起こすものの薬物投与で多くの要素を隠ぺいできるということがあるので、変更するのは難しいことです」。
またオブライエン調教師は、ブリーダーズカップと英国チャンピオンズデーという2つの看板イベントが今年は中2週となっているが、そのいずれの日程も動かすべきではないと主張した。
そして、「英国チャンピオンズデーもブリーダーズカップも開催時期としては最高です。常にすべての人の要望に応えることはできません。理想の世界では、中2週よりも中3週の方が望ましいかもしれませんが、誰もが最善を尽くす努力をしており、私は英国チャンピオンズデーもブリーダーズカップも日程を変更して欲しくありません」と語った。
By Lee Mottershead
[Racing Post 2012年11月2日「Gosden and O’Brien back ‘brave move’ to ban Lasix use next year」]