エド・マクマホン(Ed McMahon)調教師は、高速鉄道建設計画が実現に向けて一歩踏み出すとの報道を聞き、引退に追い込まれる最悪の事態を懸念している。
高速鉄道“ハイスピード2”(HS2)建設計画の最終決定は、1月中旬に行われる予定である。BBCは、政府は議論を巻き起こしているこの計画の実施を真剣に検討していると報道した(訳注:1月10日に英国政府はこの建設計画を正式に認可した)。
計画ルートは、スタフォードシャー州リッチフィールドにあるマクマホン調教師のホースリーブルックファーム(Horsley Brook Farm)を横切ることになっており、同調教師は、「この鉄道が建設されれば、私の調教キャリアを終わらせることになります。私たちは18〜19年前の調教施設の入手が難しかった時期にこの牧場を購入しました。そして、幸運にもすべてが揃った施設を所有しています」と語った。
そして次のように続けた。「この施設はもともと何も描かれていないキャンバスでしたが、自信を持って誰でも連れて来られるような施設に作り上げました」。
「これは全くの茶番です。私は、都合の悪いものを余所に設置するのはいいが自分の近くは絶対にいやだという自分勝手な人間ではありません。どうしてもそうしなければならないという場合もありますが、私たちは損害を被るときにはすべてを調べてみるのが普通であり、その結果、この計画は納得のいくものになっていないと感じています」。
「しかし政府は、民主主義というよりもむしろ専制政治のように私人の権利を一方的に規制する法案を作ってでもこの計画をやり遂げようとするでしょう。これは数百万世帯に電気を供給するフーバーダム(Hoover Dam 米国の多目的ダム)のようなものではなく、単にわずかな人々の役に立つものでしかありません」。
「政府が沿線に住むすべての人々に補償を行うかどうかを聞く必要があります。私はほぼ20年間この施設に投資してきており、今になってようやく元が取れそうになっているのに、それをはく奪されようとしています。政府がそれに補償を行ってくれるのかどうかわかりません」。
またこの高速鉄道建設計画は、オクスフォードシャー州バンベリー近郊のエッジコートを拠点とするベン・ケース(Ben Case)調教師とアレックス・ホールズ(Alex Hales)調教師にも深刻な意味合いを持っている。というのは、計画されている鉄道のルートが両者のギャロップ走路を横切るからである。
ホールズ調教師はこの件に対してのコメントを控えたが、ケース調教師は次のように語った。「この問題の政治面に関与したくはありませんが、私たちにとっては良い事ではありません。調教活動は引き続き可能でしょうが、影響は必ずあるので仕事はやりにくくなるでしょう」と語った。
「この路線の周辺の人々は皆この建設計画への反対運動をしてきましたが、困ったことに、政府は、危惧していたとおり何としてもこの計画を推し進めたがっているのです。経済効果が見込まれるということで政府はこの計画を進めてきましたが、私はそれが本当に正しいとは思いません」。
「しかしこのことに関して私たちが出来ることは、余りありません。政府がやりたがっていることに不平を言うことはできますが、彼らは結局やりたいようにやるでしょう」。
またこの高速鉄道の計画ルートは、バッキンガム州トワイフォードにあるアラン・ジャーヴィス(Alan Jarvis)調教師の厩舎の敷地の近くも通るが、同調教師は自身の厩舎が影響を受けるとは考えていない。
ジャーヴィス調教師は次のように語った。「鉄道ができない方が良いに決まっていますが、私たちはあまり大きな影響を受けないでしょう。2、3区画の農地を挟んでルートが計画されており、私たちの敷地を貫通することはありません」。
また、「騒音問題が生じるとは考えておらず、土手や木々によってほとんど音は遮断されるでしょう。土地の価値に影響を与えるでしょうが、それについてはどうしようもありません」と語った。
By David Carr
[Racing Post 2012年1月9日「McMahon’s pessimism over proposed rail link」]