馬主協会(Racehorse Owners Association: ROA)は3月3日、各競馬場に対し、この冬の憂慮すべき出走頭数減に対処して全天候型馬場レースの賞金額を増加させるよう要求した。
本紙がまとめた統計によれば、今年1月〜2月に施行された全天候型馬場の600近いレースのうち10分の1は4頭立て以下で施行された。2005年には4頭立て以下のレースはなかった。
今年1月〜2月の平均出走頭数は、統計を取っている13年間のうちで最少の8頭にまで減少し、半分近くのレースは7頭立て以下である。
ROAのCEOリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は、「賞金額の低さが状況を悪化させており、競馬産業特に全天候型の競馬場は、馬主が毎年この時期に所有馬を出走させるようもっと働きかける必要があります」と語った。
そして次のように続けた。「最終的にこの問題は提供される賞金に帰着します。賞金が増加しない限り、出走頭数が大きく増加するのは無理です」。
「毎年この時期に出走頭数が減少するのは目新しい問題ではなく、平地シーズンが間近に迫っている中で、大半の平地競走馬にとってこの時期の出走はあまり魅力的ではないのが現実です」。
「しかし、全天候型馬場でのレースが、冬の間とりわけ障害競走が悪天候に脅かされる1月〜2月に、重要な役割を果たしていることは間違いありません」。
場内ブックメーカー協会(Rails Bookmakers Association)のロビン・グロスミス(Robin Grossmith)会長もポスト紙の統計に触れ、次のように語った。「冬の真っただ中の時期に全天候型馬場のレースが多すぎます。また賞金額の問題もありますが、そもそも現役馬頭数がレース数の多さについて行けません」。
「全天候型馬場の開催はブックメーカーにとって魅力的ではありません。13頭〜14頭立てのレースもあるかもしれませんが、それが4〜5レースのうち2レースしかなければ、開催自体が台無しでしょう。競馬場はそれでもメディア権料や賦課金支払いを受け取り、またベッティングショップは賭けの対象そのものが目当てなので、出走頭数や観客の少なさを気にしていませんが、競馬自体は悲惨なものになります」。
「この状況がどのように推移していくか分からないので、場内ブックメーカーと競馬場は話し合い、良い結果を出すために取り組む必要があります」。
全国調教師連合会(National Trainers' Federation)のCEOルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は次のように語った。「経済不況と産駒頭数減少によって生じる現役馬の減少が、出走頭数の減少になって現れ始める時点が常に来るものです」。
「調教師から伝わってくるメッセージは、下級条件馬を所有する馬主の多くが採算性について尋ねてくるというものです。統計によればハンデキャップの下位にいる馬がどんどん減少していると思います。おそらく全天候馬場の競馬番組は、多くの現役馬を冬の間レースに出走させるほどの魅力がないのでしょう」。
ウォルヴァーハンプトン、サウスウェルおよびリングフィールド競馬場を運営するアリーナレーシング社(Arena Racing Company)のケイト・ヒルズ(Kate Hills)氏は次のように語った。「この時期には出走頭数の自然な減少があります。しばらくの間休養中の馬もあれば、春と夏の開催に向けて調整に入っている馬もあり、1月〜2月にいつでも出走できる態勢にはありません。この時期は中間期と言えます」。
「サウスウェル競馬場が1月〜2月の何日間か洪水のため閉鎖になったことで、リングフィールド競馬場が、通常より約30%多い競馬日程を施行しました。リングフィールド競馬場はケンプトン競馬場に近いため、近い場所で同じような競走が過剰に行われたことになります。サウスウェル競馬場向きの馬を一時放牧に出した調教師もいます」。
「私たちは馬の頭数と競馬番組についてBHA(英国競馬統轄機構)と定期的に話し合っており、それらが議題の大半を占めています。私たちは最大限の出走頭数と魅力的なレースを行うことに力を入れています」。
ラドブロークス社(Ladbrokes)のデヴィッド・ウィリアムズ(David Williams)氏は次のように語った。「私たちは、全天候型馬場レースに追い打ちをかけようとする動きを阻止する必要があります。悪天候のときに特別に開催される全天候型馬場レースは、顧客への重要な賭事商品の提供と賦課金への寄与という点で大きな役割を果たしてきました」。
「出走頭数がいくらか減少したことにはあまり驚きませんし、この時期の厳しさを考えるとそう悲観的になる必要もありません。8頭の平均出走頭数という数字は完全に受け入れ可能なものですし、多くの馬が出走し魅力的なレースが見られる大規模なウォルヴァーハンプトン競馬場をはじめ、競馬番組をこの時期に開催し続けることの重要性を示す素晴らしい例もいくつかありました」。
「賭事様式ワーキンググループ(Betting Patterns Working Group)ではこれらの問題への取組みで進展を見ていますが、これらの問題は、賭事体験という広い文脈の中で検討されなければなりません」。
1月〜2月の全天候型馬場のレース | |||||||||||||
2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | |
全レース数 (レース) |
362 | 406 | 427 | 494 | 474 | 483 | 502 | 680 | 618 | 610 | 599 | 540 | 592 |
7頭立て以下 | 12% | 7% | 9% | 15% | 6% | 7% | 16% | 44% | 38% | 42% | 47% | 41% | 46% |
4頭立て以下 | ― | 0.2% | 0.7% | 0.8% | ― | 0.2% | 0.4% | 5.3% | 5.3% | 6.7% | 6.5% | 5.7% | 10.5% |
平均出走 頭数(頭) |
10.6 | 11.3 | 11.1 | 10.5 | 11 | 10.9 | 10.1 | 8.1 | 8.6 | 8.3 | 8.1 | 8.6 | 8 |
By Graham Green
[Racing Post 2013年3月4日「Plea for prize increase as field sizes plummet」]