ロイヤル・ダッチ・シェル社(Shell)の副社長スティーヴ・ハーマン(Steve Harman)氏が、ポール・ロイ(Paul Roy)氏の後任としてBHA(英国競馬統轄機構)の会長に就任することが本日発表される予定。
ハーマン氏は、BHAのニコラス・ジョーンズ(Nicholas Jones)理事、オーナーブリーダーのニコラス・クーパー(Nicholas Cooper)氏および馬主でデロイト社(Deloitte)元会長のジョン・コノリー(John Connolly)氏などを含む候補者のうち第一順位となっていた。なお、会長職を6年間務めたロイ氏は4月に正式に辞任する。
次期会長の指名をBHA指名委員会とともに行う人材スカウト会社として、昨年11月に、コーン/フェリー・ホワイトヘッド・マン社(Korn/Ferry Whitehead Mann)が選任されていた。
ロイ氏は昨年末に、後任者は競馬を100%愛していなければならず、また競馬産業、金融界あるいは政府において実績のある人であれば諸問題に取り組むことができるだろうと話していた。
56歳のハーマン氏はイングランド北部ダーラムの生まれで、16歳のとき炭鉱夫になるため高校を退学したが、全英石炭委員会(National Coal Board)が実施していたプログラムで学業を再開し、ダーラム大学を卒業した。そして1984年ロイヤル・ダッチ/シェルグループに入社し、さまざまな部署を経て、2011年にロイヤル・ダッチ・シェル社の副会長となった。
ハーマン氏はクラブ法人馬主のハイクレアサラブレッドレーシング社(Highclere Thoroughbred Racing)とサーローサラブレッドレーシング社(Thurloe Thoroughbred Racing)を通じて馬所有に関わっており、フィリップ・ホッブス(Philip Hobbs)調教師やマーティン・カイリー(Martin Keighley)調教師の管理する競走馬を所有している。6年前の米国の雑誌『スマートビジネス(Smart Business)』のインタービュー記事の中で、同氏は競馬ファンで“賭け事が好き”と書かれていた。
ハーマン氏は既婚で子供は3人おり、2006年〜2009年に米国のペンゾイル社(Pennzoil)のCEOを務め、その間に米国軍リハビリ・回復・復帰プログラムに関わった。同氏は英国軍の慈善活動“ヘルプフォーヒーローズ(Help For Heroes)”の役員でもある。
同氏は、英国競馬界が直面している競馬への資金調達、ブックメーカーとの長期的な商業契約の導入などの課題解決に向け、CEOのポール・ビター(Paul Bittar)氏と連携して取り組んでいくことが期待されている。
ロイ氏は会長の任期中にずいぶん批判され、2011年秋に議論を呼んだ新しい鞭使用ルールの適用や、ベットフェア社(Betfair)の利用客の位置づけと同社が賦課金を支払うべきかに関する司法審査にBHAがウィリアムヒル社(William Hill)とともに関ったことで、批判は頂点に達していた。
ロイ氏が会長として注目を浴びていた一方で、BHAは、その年にCEOニック・カワード(Nic Coward)氏の退任後に、ビター氏が新CEOとして就任することに期待していた。ハーマン氏は、仕事にしっかり取り組んでいるビター氏とともにやっていくことになるので、表舞台で脚光を浴びることは少ないだろう。
By Bill Barber
[Racing Post 2013年3月21日「Shell chief Harman new BHA chairman」]