イタリアの競馬界および生産界全体は、農務省が国内の財政危機のために2012年9月〜12月のすべての賞金支払いを差し止めていることから、消滅の危機に晒されている。
イタリアにおける重大な経済問題一般と政府の事実上の崩壊の中で、競馬関係者たちは少なくとも2014年までの期限において、政策に関する政府の“優先順位”により差し止められている獲得賞金を手にする見込みは小さい。
この連鎖反応は競馬の将来を危機に晒すものであり、競馬場連合(Federation of Racecourses)のグイド・メルチ・デリル(Guido Melzi d'Eril)理事長は次のように語った。「私たちは厳しい状況にあります。農業食糧林業省(Mipaaf)長官のステファノ・バッカリ(Stefano Vaccari)氏に書簡で、競馬界全体と個々の競馬会社および従業員への支払責任が果たされるよう要請しました。しかし、正当で公平なことに全く反する決定により、競馬界は拒絶されました」。
Mipaafとイタリア競馬界の代表とで行われた先週の会合において、1,700万ユーロ(約22億1,000万円)が予算の残余財産から拠出されるかもしれないとのことであったが、その期限は発表されなかった。
デリル理事長は次のように続けた。「有言実行であるべきです。多くの人々がたとえ給与を支払われなくても競馬産業内で引き続き働くという決意のおかげで、昨年イタリア競馬は存続することができました。このような自己犠牲がなければ、競馬産業は持続する収入減と歳入の50%削減の中で維持し続けることはできなかったでしょう」。
「しかし、賃金支払いなしでは、競馬界はある時点で存続不可能となるでしょう。競馬運営会社は、その名に値する産業の運営が不能になり閉鎖を余儀なくされるでしょう」。
しかし、たとえバッカリ氏が文書に署名する権限を行使したとしても、イタリアにはもはや政府が存在しないと同然のため財源が準備されることはなく、財務省もなすすべがありません。
ディレクトリウム(Direktorium ドイツジョッキークラブ)は、先頭に立ってヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee: EPC)によるイタリア競馬のボイコットを要求しており、これがエスカレートすれば、イタリアの競馬界と生産界にさらに深刻な結果をもたらす可能性がある。重賞競走や準重賞競走に関する公式の国際的ステータスがはく奪され、国内での競馬産業が活動不能となる可能性がある。
イタリアの馬主、調教師および騎手も賞金支払いを待っており、ドイツ人競馬関係者だけが賞金を受け取っていないわけではない。ディレクトリウムはまず、1月に非公式なやりとりを通じて賞金未払いの懸念を提起した。ディレクトリウムが先週簡単な声明をウェブサイトに掲載するまで、このことについての正式な発表はなかった。
ディレクトリウムのビジネスサービス担当理事であるロバート・エンゲルス(Robert Engels)氏は、4月15日本紙に対して次のように語った。「ドイツ人馬主への賞金は、2012年8月から12月まで支払われていないことが確認できています」。
「私たちはイタリアの競馬場から、2013年3月31日に賞金を支払うという約束を取り付けましたが、実現しませんでした。ドイツ人馬主には、イタリアが置かれている状況について報告してありますが、こうした状況に狼狽しています」。
「私たちは、EPCのような他の国際的な競馬機関がこの状況を打開し責任ある団体に強く働き掛けるすべての取組みを支持します。ディレクトリウムは、馬主に所有馬をイタリアで走らせることに伴うリスクについて警告しています」。
賞金を受け取っていないドイツ馬には、9月30日のヴィットリオ・ディ・カプア賞(G1)優勝馬アマロン(Amaron)、10月21日のイタリアジョッキークラブ大賞(G1)優勝馬ノヴェリスト(Novellist)、10月28日のリディアテシオ賞(G1)優勝馬ソルティレージュ(Sortilege)がいる。
By Guy Butchers and Stuart Riley
(1ユーロ=約130円)
[Racing Post 2013年4月15日「Fears funding crisis could end Italian racing」]