明日グランドナショナルと同じコースで2つのレースが施行される際、エイントリー競馬場のかの有名なトウヒの枝で覆われた障害に見た目の変更はないかもしれないが、安全性の向上を第一として新しく設計された2種類の障害が試される機会となる。
すなわち、ビーチャーチェイス競走およびグランドセフトンチェイス競走で設置される障害のうち4つが以前の材木による堅い素材の代わりに、うち2つはカバノキの枝、残りの2つはプラスチック素材を使用した、柔らかい骨組みで作り変えられた。そして全体がトウヒの枝で覆われ、同じ高さに維持される。
昨年4月に施行された2012年グランドナショナルにおいて、一昨年に続き2頭の予後不良馬を出して以降、グランドナショナルのコースが使われるのは初めてである。
この予後不良事故によって、動物愛護団体と一般の人々からの批判に対処するためBHA(英国競馬統轄機構)とエイントリー競馬場の再検討が行われ、発走地点の移動など一連の措置が採られることとなった。
2011年グランドナショナルの勝馬バラブリッグス(Ballabriggs)をビーチャーチェイスに出走させるドナルド・マケイン(Donald McCain)調教師はすでに、管理馬を新しい障害で飛越させ、好印象を持っている。
マケイン調教師は次のように語った。「新しい障害は一見したところ完全にトウヒの枝に覆われており、異なる作り方をされたようには見えません。そしてグランドナショナルの障害のすべての特徴を維持しています」。
「2頭の管理馬に2つの障害を2回飛越させて、その飛越具合に満足しました。馬の故障を減らすためになされる障害の変更は、どのようなものでも前向きの措置になります」。
馬場取締委員のアンドリュー・タラク(Andrew Tulloch)氏は、「障害は見た目も飛越する感覚も変わりませんが、トウヒの枝が払い落されると、中にあるのは材木による堅い骨組み素材ではなくより和らかいものです」と語った。
そして、「最後と最後から2番目の障害は、エイントリー競馬場のために特別に作られたものですが、イージーフィックス(Easy-Fix 訳注:ゴム製のフェンスの商品名)の練習用障害に似ており、材木の骨組みの代わりに、プラスチックの箱およびトウヒの枝を差し込んだプラスチック製のカバノキの枝が使用されています」と続けた。
タラク氏は次のように付言した。「この5年間私はさまざまな選択肢を検討してきました。これで予定通り進めることができ、役立つことを望んでいます」。
昨年のビーチャーチェイスの総賞金は5,000ポンド(約70万円)増加して11万ポンド(約1,540万円)となり、またグランドセフトンチェイスの総賞金は7,500ポンド(約105万円)増加して6万ポンド(約840万円)となった。
By Graham Green
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2012年12月7日「New National fences on trial at Aintree」]