アイルランドのエクイノム社は、公益財団法人競走馬理化学研究所(競理研)と「エクイノム・スピード遺伝子検査」のライセンス契約を締結した。このことにより、競理研は日本の競馬産業界に対して同検査を実施する唯一の検査機関となった。
エクイノム・スピード遺伝子検査は、骨格筋の発達に関わる遺伝子中の特異的なDNAを解析することにより、サラブレッド種競走馬の距離適性を予測するものである。この検査法は、ユニバーシティー・カレッジ・ダブリン(UCD)のHill博士の研究成果として開発された。検査サービスは2010年に開始されたが、競走馬の調教や生産プログラムの発展に有効な情報として、すでに世界の主要な生産者や調教師に利用されている。
競理研の研究者は、日本のサラブレッド種競走馬2,000頭を対象とする調査を実施し、距離適性を示す指標としての「エクイノム・スピード遺伝子検査」の有用性を確認した。また、この検査結果は競走馬の成長率を示す指標として利用できることを明らかにした。
競理研の水野理事長は、「エクイノム社とUCDは、ウマ、特にサラブレッド種の遺伝学分野において質の高い研究を実施しており、以前から我々は注目していた」、また「エクイノム社と競理研の業務提携は、競理研の遺伝分析部門の発展のみならず、日本の競馬産業界、特にサラブレッド種の生産や調教に寄与するものと考える」と述べた。
エクイノム社の常務取締役 Ryan 氏は、「近年、日本のサラブレッド業界は急速に発展し、世界でも主要な地位を占めるようになった。現在、世界ランキングトップ7に、日本産馬が2頭もランクインしている」と述べた。
日本の競馬産業界では、年間延べ1,500日以上の開催日が維持され、約20,000頭が出走している。近年、日本産馬は、世界の主要な重賞競走に出走して勝利している。また、日本の馬主は国際的な競走馬のセリにおいて、しばしばリーディング・バイヤーになっている。
(エクイノム社ホームページより)
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[2013年6月4日「Official Japanese Racing Laboratory Licences Equinome Speed Gene Test」]