ブリーダーズカップ協会(Breeders' Cup Ltd.: BCL)は今年のブリーダーズカップでは、2歳馬競走でのフロセミド(furosemide)を使用禁止し“パフォーマンスを監視する”としているが、2014年のブリーダーズカップにおいてはこの薬物の治療目的での使用が全レースで可能となる。
カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board:CHRB)は8月22日にこの件について話し合いを持ち、BCLは8月23日に詳細にわたる声明を発表した。BCLは今年すでに、サンタアニタパーク競馬場で施行される2013年ブリーダーズカップの全レースにフロセミド(別名サリックスあるいはラシックス)使用禁止を適用する計画から腰が引けていたが、2歳競走への同薬物の使用禁止は維持する意向を示していた。
2014年ブリーダーズカップは、3年連続でサンタアニタ競馬場において開催される。しかし、カリフォルニア・サラブレッド馬主会(Thoroughbred Owners of California:TOC)はサリックス使用禁止に反対しており、今後BC開催地となる可能性のある州(ケンタッキー州やフロリダ州など)のホースマングループも競走当日薬物使用禁止と闘う構えである。
BCLは次のように述べている。「2012年と2013年は、CHRBとサンタアニタ競馬場とTOCが協力して、ブリーダーズカップの競走当日のフロセミド使用禁止を2歳競走限定で施行することに成功しています。しかし、2014年開催候補地を審査したところ、2014年BC開催時には薬物使用方針がBC開催地に相応しい州同士で統一されるべきであるという結論に至りました」。
「今後BC開催地となる可能性のある州のホースマングループは、薬物使用方針を統一しないのであれば、サイマルキャスト賭事運営権を認可しないことを示唆しましたので、BCLのサイマルキャスト賭事運営とブリーダーズカップそのものが危険に晒されます」。
昨年に続き、2歳馬にサリックスを使用しないと誓約している有名馬主がいるにも拘わらず、どの競馬開催州も2歳競走におけるサリックス使用を禁止していない。
BCLは、ブリーダーズカップなどの大規模な国際競走イベントが競走当日薬物使用について統一ルールと条件の下で開催されるべきであるという目標を持ち続けると述べた。そして、「私たちはこの目標に向かい、今後のBC開催地、競馬統轄機関およびホースマングループなどの米国内外の利害関係者と引き続き前向きに取り組むでしょう」と付言した。
BCLは、米国におけるモデルルール統一に向けての順調な進捗状況に言及したが、競走当日のサリックス使用を禁止する試みについては進展していないとし、「将来のどのBC開催候補地も、今後短期間の内に合意に至ることを保証できていません」と語った。
By Tom LaMarra
(関連記事)海外競馬情報2013年No.4「ブリーダーズカップ、2013年もサリックス使用を禁止せず(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2013年8月22日「Juveniles Can Race on Salix in 2014 Cup」]