スペインがジブラルタル拠点のインターネット賭事業者に課税するため法律を改正しようとする動きは、ジブラルタル、スペインおよび英国政府の間で発生している威嚇行為の一端である、と賭事産業の代表は述べた。
漁業権を巡る騒動が発端となった緊張状態は最近エスカレートしており、スペインのホセ・ガルシア-マルガージョ(Jose Garcia-Margallo)外相が8月4日の新聞インタビューで多くの提案に言及したときに最高潮に達した。
その提案には、50ユーロ(約6,500円)の国境通過料、ジブラルタル居住者がスペインで所有する不動産の調査、ジブラルタル空港に向かう航空機に対する空域閉鎖が含まれていた。
また、ジブラルタル拠点の賭事業者が事業を行う場合にはスペイン国内のサーバー使用を義務付け、スペイン政府が課税できるよう、インターネット賭事法制の改正も提案していた。
その提案の翌日の8月5日、ベットフェア社(Betfair)、ベット365社(bet365)、コーラル社(Coral)、ラドブロークス社(Ladbrokes)、パディパワー社(Paddy Power)およびウィリアムヒル社(William Hill)などインターネット賭事を行う会社の利益を代表する遠隔賭事協会(Remote Gambling Association:RGA)は、提案の詳細な中身を探っていた。
そして、RGAの企画担当理事スー・ロシター(Sue Rossiter)氏は次のように語った。「これはすべて現在行われている威嚇行為の一端であるというのが私たちの見解です。国会で法文化され誰もが目にできる実際の提案はありません」。
「いずれにしても、私たちが先ずやらなければならないことは、欧州委員会(European Commission)でこのことについて強く訴えることです。なぜならこれは明らかに域外課税だからです」。
「賭事産業はこの提案を非常に懸念しています。ジブラルタルの首相は賭事産業を守るために迅速に反論しました。私たちはこのことを評価しています」。
「しかし現時点で、新たな提案を見るまでは、私たちが言えるのは、これが適用されうまく機能するとは考えられないということです」。
ジブラルタルの賭事産業では2,000人以上が雇用されている。
2週間前の週末に、車でスペイン入りしようとした人々は、車両の検問を行うスペイン警察によってうだるような暑さの中で最長7時間留め置かれた。この事態のため、英国のウィリアム・ヘイグ(William Hague)外相はスペインの外相とコンタクトを取るに至った。そしてデヴィッド・キャメロン英首相はこの現状に“懸念”を表明している。
スペインに居住する賭事産業従事者は、遅刻しないよう、スペインとジブラルタルとの国境を徒歩で渡っている。
またジブラルタル政府は、英国が提案しているジブラルタル拠点のインターネット賭事業者に対する“賭事が行われる場所での課税案”と争うことも計画していると言われている。
ジブラルタルに関する数字 | |
26社 | 賭事運営免許を有するジブラルタル拠点の賭事業者 |
2,200人 | 遠隔賭事産業に直接雇用されている人々 |
3,900便 | 2012年のジブラルタル国際空港の発着便数 |
38万7,219人 | 2012年のジブラルタル国際空港利用者 |
By Bill Barber
(1ユーロ=約130円)
[Racing Post 2013年8月6日「Gibraltar-based bookmakers accuse Spain of ‘sabre-rattling’」]