この度は、たった3日間のうちに2つ目の競馬場を閉場する準備をしたことで、競馬関係者の間で落胆と失望が広がった。(訳注:12月16日から18日までの3日間に、イングランド中西部のヘレフォード競馬場とイングランド南東部のフォークストン競馬場の2つの競馬場が閉場。)
114年にわたって競馬を開催してきたフォークストン競馬場は12月18日にその扉を閉める予定であり、ケント州には競馬場が1つもなくなって地元の調教師や競馬ファンに打撃を与えるだろう。
最終日に管理馬3頭を出走させるケント州拠点のリンダ・ジュエル(Linda Jewell)調教師は、「地元に競馬場があることは重要であり、とりわけこの経済状況の中では移動費を節約できることから貴重でした。私が馬を預かっている馬主の間でもフォークストン競馬場は非常に人気があり、障害でも平地でも素晴らしい競馬場でした。非常に悔やまれます」と語った。
そして次のように続けた。「フォークストン競馬場はケント州の人々の間で非常に人気が高く、5月のハンターチェイス開催は地元のハンター競走関係者から多大な支持を受けていたので、彼らは同競馬場を失う事にひどく落ち込んでいるでしょう。本当につらい一日になりそうです。皆にとって少しばかり過ごしやすくなるよう今日は太陽が輝くことを望んでいますが、つらく心の重い日になるでしょう」。
ウェスト・サセックス州の近くを拠点とし、平地と障害の競走を施行しているフォークストン競馬場においてこの5年間で最も成功した障害調教師であるゲイリー・ムーア(Gary Moore)氏は、「フォークストンが閉場することは極めて残念なことです」と述べた。
そして次のように語った。「やるべきことがあったはずです。フォークストン競馬場は質の高い美しい競馬場で、その馬場取締委員であるニール・マッケンジー-ロス(Neil Mackenzie-Ross)氏は英国でも指折りの1人であり、いつも素晴らしい障害用馬場に維持していました」。
「多くの人々が忘れていることは、ヘレフォード競馬場とフォークストン競馬場の閉場で、右回りの洋梨型のコースでトリッキーな競馬場が少なくなくなってしまうことです。ここから拠点をヘレフォード競馬場に変えようにも、ヘレフォード競馬場もなくなったので、私たちはもう行き場所もありません」。
リチャード・ジョンソン(Richard Johnson)騎手は、「ヘレフォード競馬場とフォークストン競馬場の閉場を目の当たりにするのは非常に残念なことです。競馬場が閉場するのを見たい調教師や騎手などいません。ここは質の高い美しい競馬場であり、一流調教師は皆ここで管理馬を出走させています」と語った。
競馬場オーナーであるアリーナレーシング社(Arena Racing Company)は、競馬場を再オープンさせるための必要条件となるこの土地の再開発を可能にする契約がなされることになお希望をもっていると、スポークスウーマンのケイト・ヒルズ(Kate Hills)氏は述べた。
ヒルズ氏は、「私たちには市議会と話し合いを続ける熱意がまだあります。そして、ケント州議会とシェプウェイ市議会はいずれも私たちとともに取り組むことに乗り気です」と付け足した。
シェプウェイ市議会のリーダーであるロバート・ブリス(Robert Bliss)氏は次のように語った。「私たちは12月18日がフォークストン競馬場の最後の競馬開催日となることを非常に残念に思っています。この地区に対する競馬の貢献は認識しており、長期的な競馬開催を可能にする計画方針達成のために懸命に取り組んできました」。
「しかし、中心となる地域戦略計画の公開調査を実施したところ、競馬場再開発の資金を提供するために提案された800戸の住宅開発が地域住民に受け入れられないことがはっきりしました。今後市議会は、アリーナレーシング社と他の選択肢について話し合うつもりであり、競馬場がこの地区の将来において重要な役割を担うことができるよう検討します」。
最終日である12月18日の接待用エリアの座席は売切れ、入場者数は1,500人ほどになるとみられている。
1960年以降閉場した英国の競馬場 | |||
1960年 |
バックファストリー競馬場 (Buckfastleigh) |
1965年 |
ロスベリー競馬場 (Rothbury) |
1962年 |
ハーストパーク競馬場 (Hurst Park) |
1965年 |
バーミンガム競馬場 (Birmingham) |
1963年 |
オーレ競馬場 (Woore) |
1970年 |
アレクサンドラパーク競馬場 (Alexandra Park) |
1963年 |
マンチェスター競馬場 (Manchester) |
1974年 |
ワイ競馬場 (Wye) |
1964年 |
リンカーン競馬場 (Lincoln) |
1977年 |
ラナーク競馬場 (Lanark) |
1964年 |
ルーズ競馬場 (Lewes) |
1981年 |
ストックトン競馬場 (Stockton) |
1965年 |
ボグサイド競馬場 (Bogside) |
2009年 |
グレートリーズ競馬場 (Great Leighs) |
By Tom Kerr
[Racing Post 2012年12月18日「Heavy hearts in a sad farewell to Folkestone」]