海外競馬ニュース 2013年10月17日 - No.42 - 1
モンジュー産駒が285万ユーロ(約3億7千万円)で落札(アイルランド)[生産]

 10月3日のアイルランドのゴフス社オービー1歳セール(Goffs Orby yearling sale)2日目(最終日)に欧州チャンピオン牝馬フィンシャルベオ(Finsceal Beo)を母とするモンジュー(Montjeu)の牡駒(鹿毛、3月7日生、アイルランド産)が285万ユーロ(約3億7,050万円)で落札された。

 購買者はクールモアのマイケル・ヴィンセント・マグナイア(Michael Vincent Magnier)氏であった。サラブレッド売買仲介業者のロス・ドイル(Ross Doyle)氏とリチャード・ハノン(Richard Hannon Jr.)調教師もこの馬のセリに加わったが競り負けた。なお生産者はマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏で同氏のアルエリー牧場(Al Eile Stud)の名で上場されていた。

 この落札額は今年北半球の1歳馬最高価格で、セリ史上において1984年に310万ユーロ(約4億300万円)で購買されたシャーガー(Shergar)産駒のアウザール(Authaal)に次ぐ2番目に高額となった。またサドラーズウェルズ(Sadler’s Wells)の牝馬ジェーンエア(Jane Eyre)は2007年に240万ユーロ(約3億1,200万円)で購買されている。

 同セールは全体的に売上げが27.7%増加し、平均価格が11.8%増加して終了した。

 ゴフス社によれば、全2日間で上場馬394頭のうち344頭が3,474万5,500ユーロ(約45億1,692万円)で購買され、平均価格は10万1,004ユーロ(約1,313万円)で、中間価格はわずかに1.7%減少し5万6,500ユーロ(約735万円)であった。

 売却率は、2012年の84.8%に対し87.3%に増加した。

 このモンジュー産駒は、2006年にマルセルブサック賞(2歳牝馬限定 G1)に優勝して欧州最優秀2歳牝馬となったフィンシャルベオ(馬主マイケル・ライアン氏、ジム・ボルジャー厩舎)の3番仔である。フィンシャルベオは2007年に英1000ギニー(G1)、愛1000ギニー(G1)の両ギニーを制し、仏1000ギニー(G1)では僅差の2着に終わった。

 ミスターグリーリー(Mr. Greeley)の牝馬フィンシャルベオは、2010年の独1000ギニー(G1)勝馬フローズンパワー(Frozen Power)の半姉で、フィンシャルベオの最初の2頭の仔3歳フィンシャルフロー(Finsceal Flor 父ガリレオ)と2歳トゥーザスターズ(Too The Stars 父シーザスターズ)は未出走である。トゥーザスターズは当歳のときに2011年ゴフス社11月当歳セールで80万ユーロ(約1億400万円)で売却された。

 マグナイア氏はレーシングポスト紙に対し、購買したモンジュー産駒について次のように語った。「同馬の動きは非常に良く、全てのラッドが素晴らしいモンジュー産駒だとみていました。大変な高額となりましたが、素晴らしい馬であることは明らかです」。

 欧州チャンピオンのモンジューは、今年の3月に16歳で敗血症の合併症で死ぬまでクールモア牧場に繋養されていた。

 マグナイア氏は次のように語った。「モンジューは素晴らしい種牡馬でした。もうモンジュー産駒は出てきませんが、来年種牡馬として期待するモンジュー産駒2頭、すなわちキャメロット(Camelot)とセントニコラスアビー(St Nicholas Abbey)がいます」。

 また、セリ最終日には、マグナイア氏はガリレオの牝馬でフランスのG1馬ロードシャナキル(Lord Shanakill)の半妹を、このセリの2番目の高額価格となる68万ユーロ(約8,840万円)で購買した。

 バリーリンチ牧場(Ballylinch Stud)が上場したこの牝馬は、ヴィマル&ギリアン・コスラ(Vimal and Gillian Khosla)夫妻によって生産され、母は未出走の牝馬グリーンルーム(Green Room 父シアトリカル)である。グリーンルームはすでに5頭の仔を出しており、そのうち3頭が出走しロードシャナキルと他1頭が勝馬である。

 グリーンルームは、1999年イエローリボンS(G1)の勝馬スマニッシュファーン(Spanish Fern)の半妹で、母系にはアイルランドのクラシック勝馬アルバハスリ(Al Bahathri)、米国G1馬で種牡馬のヒートシーカー(Heatseeker)、米国のG2馬ジェラルディンズストア(Geraldine’s Store)そしてフランスG1馬ハーツオブファイア(Hearts of Fire)がいる。

 マグナイア氏は5頭を454万5,000ユーロ(約5億85万円)で購買し、その平均価格が90万9,000ユーロ(1億1,817万円)となり、購買総額と平均価格でリーディングバイヤーとなった。また、クールモア牧場の一流欧州種牡馬ガリレオの産駒でアイルランドのクラシック勝馬サオアール(Saoire)を母とする牡馬をセリ1日目の2番目に高額となる42万5,000ユーロ(約5,525万円)で購買した。

 最終日はピーター&ロス・ドイル(Peter and Ross Doyle)親子が、アイルランドのステークス勝馬ガリスティック(Galistic)を母とする牝馬(父アクラメーション)を3番目に高額の58万ユーロ(約7,540万円)で購買した。同馬はカマスパーク牧場(Camas Park Stud)により上場された。

 1日目の最高価格馬は、52万ユーロ(約6760万円)で購買された、父がBCクラシック(G1)勝馬レイヴンズパス(Raven’s Pass)で母がフランスのG3勝馬アルビゾラ(Albisola)の牝馬で、セール全体でも4番目の高額馬となった。同馬はノックトラン牧場(Knocktoran Stud)により上場され、ハムダン殿下(Sheikh Hamdan)のシャドウェル牧場(Shadwell Estate Co.)に購買された。

 満足したゴフス社のCEOヘンリー・ビービー(Henry Beeby)氏は、2日間のセリを次のように総括した。

 「最高価格は明らかに目を惹くものでしたが、オービーセールは上場馬が増えたにもかかわらず売却率が87%に増加し、持続的な需要を誇る2012年生まれの一流産駒の最高級の厳選セールとして再びその名を示しました。良い成績を上げた年のセリを上回ることはいつも難しいものですが、昨年のオービーセールが平均価格の47%増加を達成し、他のどのセールよりも素晴らしい記録となり目を見張る成功だったことを思い起こすべきです。そのことを踏まえると、今年の平均価格が昨年をさらに11.8%増加したことは特に満足の行くことであり、私たちを信頼して素晴らしい1歳馬を上場してくださった方々に感謝しています」。

 「2日間のこのセリでは、私たちの変わらないシンプルで着実な点を強調しました。売り手が馬を上場しなければ、我々もまた他のセリ会社と同様に健闘することができなかったでしょう。私たちは顧客を勧誘するためにアイルランド・サラブレッド・マーケティング社(Irish Thoroughbred Marketing)とともに、世界各国から購買客を確保し、その結果、日本、米国、豪州、ニュージーランド、南アフリカなどの25ヵ国から以前を上回る顧客を迎えました」。

By Myra Lewyn
(1ドル=約100円)

[bloodhorse.com 2013年10月3日「Montjeu Son Sells for $3.8 Million at Goffs」]