10月9日のニューマーケットでのタタソールズ社(Tattersalls)10月1歳セールで、ガリレオ産駒で2012年英オークス馬ウォズ(Was)の全妹となる牝駒が500万ギニー(約8億4,000万円)で落札されたとき、1歳牝馬の世界最高価格記録が樹立され、前日に打ち立てられた1歳馬の欧州最高価格記録が塗り替えられた。
カタールのジョアン殿下(Sheikh Joaan)のアルシャカブレーシング社(Al Shaqab Racing)代理のマンドール・インターナショナル社(Mandore International)が、クールモア牧場のジョン・マグナイア(John Magnier)氏より高値をつけ、ロッジパークスタッド(Lodge Park Stud)によりチャンピオンホースになるべく育成された牝馬を獲得した。このアイルランド産馬の母アリュアリングパーク(Alluring Park 父グリーンデザート)は、ステークス競走で3着以内の成績がある。
アリュアリングパークは、英国チャンピオン馬で現在種牡馬のニューアプローチ(New Approach 父ガリレオ)の半姉で、日本のG1馬シンコウフォレストの全妹である。そして、ステークス勝馬ジャヌード(Janood 父メディシアン)を誕生させている。
これまでの一歳牝馬最高価格記録は、2007年の同セールのブック1で達成されていた。ブリジッド(Brigid 父アイリッシュリバー)を母とするサドラーズウェルズ産駒が250万ギニー(約4億2,000万円)で購買されている。リフィーダンサー(Liffey Dancer)と命名されたこの購買馬はG1勝馬リッスン(Listen)の全妹であった。
ガリレオとアリュアリングパークから生まれた産駒は、タタソールズ社のセリにおいて注目の的である。ウォズは2010年の同セールで120万ギニー(約2億160万円)で購買され、アルジャサシヤ(Al Jassasiyah)は昨年2番目の高額価格150万ギニー(約2億5,200万円)でマンドール・インターナショナル社に売却された。
セリ初日の10月8日には、マイケル・ヴィンセント・マグナイア(Michael Vincent Magnier)氏が英オークス2着馬シークレットジェスチャー(Secret Gesture)の全弟を360万ギニー(約6億480万円)で購買し、この価格は翌日にこのガリレオ牝駒が落札されるまで欧州のセリにおける1歳馬の最高価格であった。ニューセルズパークスタッド(Newsells Park Stud)が上場したこのガリレオ産駒はステークス競走で3着のシャスタイ(Shastye 父デインヒル)を母とする。シャスタイは、1998年凱旋門賞馬で種牡馬のサガミックス(Sagamix)とフランスG1馬サガシティ(Sagacity 訳注:2001年凱旋門賞は武豊騎手騎乗で3着)の半妹である。
レーシングポスト紙は、この最高価格記録を打ち立てたガリレオ牝駒はアンドレ・ファーブル(André Fabre)調教師に管理されると報道した。わずか3日前、ジョアン殿下はフランス競馬の最高峰凱旋門賞をトレヴ(Trêve)で制したばかりである。
マンドール・インターナショナル社の代表ニコラ・ド・ヴァトリガン(Nicolas de Watrigant)氏はレーシングポスト紙にこのガリレオ牝駒について、「彼女の美しさを形容することができません。実に格調高く、他馬と一緒にセリ場を歩く姿を見れば、違いは一目瞭然です。こんな高額まで競り合うつもりはありませんでしたが、彼女はあらゆる価値を持っています。彼女が第2のトレヴとなることを望んでいます」と語った。
この日の平均価格は22万6,509ギニー(約3,805万円)で、昨年の2日目を26.7%上回った。
また中間価格は、前年同日比24.4%増で14万ギニー(約2,352万円)となり、上場馬は22頭少なかったが総売上げは2,491万6,000ギニー(約41億8,588万円)で昨年に匹敵する。なお、2日目の売却率は昨年の82.8%から74.8%に低下した。
これより前に、ハムダン殿下(Sheikh Hamdan)のシャドウェルエステート社(Shadwell Estate Co.)が2010年モルニ賞(G1)勝馬アルカノ(Arcano)の全弟でオアシスドリーム(Oasis Dream)産駒を110万ギニー(1億8,480万円)で競り落としたことで、この日はすでに100万ギニー以上の落札馬が出ていた。
この馬は、アイルランドのコーダフ牧場(Corduff Stud)が上場し、母は未出走のタリイシャ(Tariysha 父デイラミ)である。タリイシャの母系には、2010年アベイドロンシャン賞(G1)勝馬ギルトエッジガール(Gilt Edge Girl)や英国G2馬ゴドフリーストリート(Godfrey Street)などがいる。
タタソールズ社のエドモンド・マホニー(Edmond Mahony)会長は、ガリレオ牝駒の過去最高の落札額について次のように語った。
「チャンピオンとなるべく育成された馬で、全てが備わった牝駒です。ロッジパークスタッドを所有するバーンズ一族(Burns family)はこれまでも多くの素晴らしい1歳馬をタタソールズ社のセリに上場しており、このガリレオ牝駒は3世代にわたる優れたホースマンシップに対する最高の証しです。私たちは、ロッジパークスタッドのチーム全員の偉業およびジョアン殿下がこの牝駒の馬主となったことに満足しています」。
タタソールズ社10月1歳セールのブック1は、3日目となる10月10日に終了する。このセリの4日目となるブック2は10月14日に開始され、ブック3は10月18日の1日だけ開催される。
By Myra Lewyn
(1ポンド=約160円)
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