無敗の凱旋門賞馬トレヴ(Treve)は昨夜、ロンドンのドーチェスターホテルに招待された330人の観客の前で、欧州競馬界のアカデミー賞に相当する第23回カルティエ賞年度代表馬に輝き、スーパースターの地位を明確にした。
クリケット・ヘッド-マアレク(Criquette Head-Maarek)調教師が管理し、ジョアン殿下(Sheikh Joaan Al Thani)が所有するトレヴ(父モティヴェーター)は、5戦全勝でそのうち直近の3勝はG1勝利で、来年も現役を続行する。
トレヴは、スカイランターン(Sky Lantern)、ムーンライトクラウド(Moonlight Cloud)、ノヴェリスト(Novellist)およびアルカジーム(Al Kazeem)を破り、最高の栄誉を手に入れた。また、スカイランターンのほか、ジャストザジャッジ(Just The Judge)、チキータ(Chicquita)、タレント(Talent)などを抑えて、最優秀3歳牝馬にも輝いた。
ムーンライトクラウド(Moonlight Cloud)は、最優秀古馬に選ばれたことで報われた。クリケット・ヘッド-マアレク調教師の兄フレディ・ヘッド(Freddy Head)調教師が管理しジョージ・ストローブリッジ(George Strawbridge)氏が所有するこの5歳牝馬は、今年は無敗でG1競走を3勝したが、12月に香港に遠征を予定しておりさらに期待されている。なおこの部門では、ノヴェリスト、アルカジーム、デクラレーションオブウォー(Declaration Of War)もノミネートされていた。
最優秀3歳牡馬はマジシャン(Magician)となった。クールモア牧場のシンジケートが所有し、エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師が管理するガリレオ産駒で、愛2000ギニー(G1)を制したあとセントジェームズパレスS(G1)で惨敗したが、シーズン中盤の長い休養明けの11月にサンタアニタ競馬場のBCターフ(G1)を優勝し、復活した。
レーシングポストトロフィー(G1)勝馬キングストンヒル(Kingston Hill)は、ロジャー・ヴァリアン(Roger Varian)調教師が管理した最高の馬であり、ポール・スミス(Paul Smith)氏が所有する同馬は僅差でウォーコマンド(War Command)に競り勝ち、トゥールモア(Toormore)、アウトストリップ(Outstrip)およびスディルマン(Sudirman)も下し、最優秀2歳牡馬に輝いた。
チャーリー・ヒルズ(Charlie Hills)調教師が管理するクリセリアム(Chriselliam)は、ニューマーケット競馬場のフィリーズマイル(G1)とBCジュヴェナイルフィリーズ(G1)を優勝して、最優秀2歳牝馬となった。一方、クライヴ・コックス(Clive Cox)厩舎のリーサルフォース(Lethal Force)は、ソサエティロック(Society Rock)、ゴードンロードバイロン(Gordon Lord Byron)、スレイドパワー(Slade Power)およびソールパワー(Sole Power)を破って最優秀短距離馬となった。
エリザベス女王所有のエスティメイト(Estimate)は手に汗握る展開でゴールドカップ(G1)を制し、その時には、今年のロイヤルアスコット開催で最大の喝采が起こった。この4歳牝馬は長距離馬部門で、アルタノ(Altano)、タックドボワストロン(Tac De Boistron)、ブラウンパンサー(Brown Panther)およびレッドカドー(Red Cadeaux)を破り最優秀長距離馬となった。
ジム・ボルジャー(Jim Bolger)氏は、今回功労賞を受賞したが、調教師、馬主および生産者として成功した華々しいキャリアに加え、これまで人材育成にも尽力し、トニー・マッコイ(Tony McCoy)騎手やエイダン・オブライエン調教師をはじめとする多くの人々がボルジャー氏の手ほどきで仕事を学んだ。
2013年カルティエ賞受賞馬・受賞者
年度代表馬 – トレヴ
最優秀2歳牡馬 – キングストンヒル
最優秀2歳牝馬 – クリセリアム
最優秀3歳牡馬 – マジシャン
最優秀3歳牝馬 – トレヴ
最優秀短距離馬 – リーサルフォース
最優秀長距離馬 – エスティメイト
最優秀古馬 – ムーンライトクラウド
功労賞 – ジム・ボルジャー氏
By Graham Green
[Racing Post 2013年11月13日「Great Arc heroine Treve is Cartier horse of the year」]