英国人およびアイルランド人調教師は11月5日、パリ郊外のメゾンラフィット競馬場でストが決行されて重要な競馬開催が中止となり、他の関係者とともに置き去りにされた。
ジム・ボルジャー(Jim Bolger)調教師、デヴィッド・ワックマン(David Wachman)、オリー・ピアーズ(Ollie Pears)調教師およびウィリアム・ミュア(William Muir)調教師は、メゾンラフィット競馬場のクリテリウムドメゾンラフィット(G2)に計5頭、2つのG3レースに計2頭を出走登録したが、その前日の11月4日には、緊縮策の一環として閉場があり得るとの発表がフランスギャロ(France Galop)の会長からなされていた。
ミュア調教師は、セーヌエオワーズ賞(G3)にマジックシークレット(Magic Secret)を出走させる予定であったが、当日10時に到着するまでストの可能性について何も知らされていなかったと語った。
「メゾンラフィット競馬場に到着して厩舎主任のジョーと話したところ、ストが決行されるかもしれないと言い渡されたとのことで、その時初めて状況を知りました」とミュア調教師は述べた。
100人以上の競馬場スタッフと労働組合員がパドックを占拠し、噂はすぐに現実のものとなり、裁決委員にほとんど選択肢はなく競馬開催は中止となった。
フランスギャロの競走担当理事フランソワ・ブラール(Francois Boulard)氏は、メゾンラフィット競馬場またはノルマンディーのドーヴィル競馬場で週後半に代替競馬を施行する保証を求める調教師の代表から、怒りの反応を受けた。ドーヴィル競馬場は、このストで中止となった6〜7ハロン(1200m〜1400m)のレースを代替施行できる長い直線コースを持つ唯一の競馬場である。
同競馬場で調教師たちと急遽話し合いを行ったブラール氏は、「私たちは明日の正午まで様子を見て、代替競馬を組むことができるかどうかを決定します」と語った。
そして次のように続けた。「競馬場スタッフの代表とフランスギャロが連絡を取り合った上でどうするか決まるでしょう。今後競馬開催が行われる保証はなく、代替競馬は中止になるかもしれません。また、どこかの競馬場で木曜午後に代替競馬を施行する決定を行うかもしれません。話合いの結果がどうなるか明言することはできません」。
そして、「長距離を輸送されてきた遠征馬はここにとどまり、朝の調教をする機会が与えられます」と述べ、英国およびアイルランドの関係者にわずかな慰めを与えた。
ミュア調教師にとってこれは十分な慰めとはならず、同氏はマジックシークレットを馬運車に乗せ、英国に帰るよう指示した。
ランボーンから来たミュア調教師は、「かなり厳しそうなので、馬を英国に帰らせて、来年再び挑戦したいと思います。代替競馬は施行されるかもしれませんが、されないかもしれません。この馬は重馬場が得意で勝つチャンスがあったことを確信していましたので、不満です。賠償金が出ればいいですが、分かりません」と語った。
アイルランドの芝レースは11月3日に終了したので、ワックマン厩舎のヒドゥンオアシス(Hidden Oasis)とボルジャー厩舎のコルバ(Korba)およびカエサリア(Caesaria)は、フランスギャロとメゾンラフィット競馬場スタッフとの交渉の結果を待つことになる。
ボルジャー調教師の遠征担当厩務主任のジェラード・フリン(Gerard Flynn)氏は、1990年代後半に現在閉場しているエヴリー競馬場でデヴィッド・ロダー(David Loder)調教師の下で働いていたことがあり、フランスでの経験が豊富である。
同氏は、「今後多くの展開を辿るでしょうが、木曜日か金曜日に代替競馬が行なわれるのであれば問題ありません。どちらの競馬場で代替競馬が行なわれるにせよ、私たちは開催場に出向くことができます。2歳馬限定の直線7ハロン(1400 m)のレースを施行する必要がありますので、木曜日にドーヴィル競馬場かここでの開催が検討されています。しかし、ストを行っているスタッフが同じであることを考えれば、木曜日にここで開催することとしたら同じことが起きるでしょう」と語った。
オリー・ピアーズ調教師もノーリーフクローバー(No Leaf Clover)をフランスに滞在させる方向に傾いており、代替競馬が組まれればロバート・ウィンストン(Robert Winston)騎手に騎乗依頼をするだろう。
ウィンストン騎手は次のように語った。「明日ノッティンガムで騎乗しますが、木曜日に騎乗予定はありません。代替競馬が開催されるのであれば、木曜朝にフランスに飛行機で戻ってくるつもりです」。
「高い賞金が提供されるので、私が高く評価する馬に騎乗するために今日は喜んでここに来たのです。木曜日の飛行機で戻りドーヴィルで騎乗できれば幸せです」。
11月4日にフランスギャロのベルトラン・ベランギエ(Bertrand Belinguier)会長がメゾンラフィット競馬場の将来を検討すると発表したことをうけ、同競馬場の閉場の可能性がフランス人調教師の間で非常に大きな懸念になっている。
多くの調教師は、競馬場スタッフのストに共感を表明した。
ラテストを拠点とするクリスティアン・バイエ(Christian Baillet)調教師は、「開催中止にはがっかりしていますが、ストに訴えた行動はよく理解できます」と語った。
今回中止となった5日の競馬開催は、メゾンラフィット競馬場の今年最後の開催日であった。バイエ調教師は、「フランスギャロが、今回の中止をうけて理事会を開いたことは賢明だったでしょう」と語った。
By Scott Burton
[Racing Post 2013年11月6日「British and Irish trainers caught up in French strike」]