アスコット競馬場は英国チャンピオンズデーの下準備の1つとして、雨天による影響を最小限とするために、ドーム建設に投資する可能性を検討している。
英国最高の賞金総額を誇るこの競馬開催日は、2011年の第1回目は良馬場で開催されたが、過去2回は重馬場で開催された。
バークシャー州にあるアスコット競馬場は2007年に競走するには危険すぎるのではないかと疑問視された水たまりのある区画を保護するために、チェスター競馬場やヘイドック競馬場でも採用されている防雨カバーを敷いていたが、コース一面を覆うようなカバーを作ろうとした競馬場はこれまでにない。このドーム建設計画が承認を得たとしても、早くても2015年より前には発表されないようだ。
アスコット競馬場の役員は、この構想は、一部の競馬関係者が馬場状態に対する懸念からチャンピオンズデーではなくブリーダーズカップに馬を向かわせることを恐れて考えられたものではないとしている。サンタアニタ競馬場で2日間にわたり開催されるブリーダーズカップは今年、2,450万ドル(約24億5,000万円)の賞金総額を提供し、ブリーダーズカップ協会(Breeder’s Cup Ltd.)の役員は欧州馬を惹きつけることにかけては他を凌いでいる。一方アスコットのチャンピオンズデーの賞金総額は350万ポンド(約5億9,500万円)で、その前日の午後にニューマーケット競馬場で施行されるフューチャーチャンピオンズデーの賞金総額は100万ポンド(約1億7,000万円)をわずかに下回る程度である。
アスコット競馬場の馬場取締委員のクリス・スティッケルズ(Chris Stickels)氏は、次のように語った。「コース全体を覆うアイデアが頭に浮かんだので、現在費用と手配についての計画を練っています。まだ初期段階であり、“覆い”がどのように機能するかもはっきりしていません。それがドームになるのか、どのような素材を使うことになるのかも分かりません。労働力の問題や、覆いに落ちた雨水を処理する方法についての問題もあります」。
「テクノロジーは常に進んでいて、私たちはそれと共に前進する必要があります。そして可能な限り最良の馬場を手に入れるためにできることがあれば、調査する価値がありますが、歴史的に見て10月に降雨量が多いことは分かっています」。
アスコット競馬場の競馬番組は、2日前に一時代を終えた。というのも、6月17日開幕のロイヤルアスコット開催から、衛星放送のパートナー会社がアットザレーシズ社(At The Races)から登録制のサービスを提供するレーシングUK社(Racing UK)に引き継がれるのだ。
2004年から続いていたアットザレーシズ社との提携関係の解消により、ドンカスター競馬場で施行されるセントレジャーS(G1)を例外として、レーシングUK社が英国の主要レースをほぼ独占することになる。
アスコット競馬場のスポークスマンであるニック・スミス(Nick Smith)氏は次のように語った。「アットザレーシズ社との提携関係の素晴らしさを過小評価してはなりません。純粋に商業的決定によりレーシングUK社をパートナーとしますが、それはこれまで卓越した仕事をしてくれたアットザレーシズ社に対する否定的な考えからではありません」。
By Graham Green
[Racing Post 2014年5月12日「The dome of Flat racing」]