ゴドルフィンの看板的存在であったサイモン・クリスフォード(Simon Crisford)氏は6月24日、夢を叶えて調教師になる計画について、興奮とともにその決意を語った。
52歳のクリスフォード氏は、ゴドルフィンでの任務を縮小し、競馬界の第一線に戻るために、ニューマーケットのカールバーグ調教場(Carlburg Stables)にあるクライヴ・ブリテン(Clive Brittain)調教師の付属厩舎を借りて調教活動を始めると発表した。
20年間ゴドルフィンのレーシングマネージャーとしてモハメド殿下(Sheikh Mohammed)の右腕的存在であったクリスフォード氏は、2月にその職を辞し、同社の国際競馬アドバイザーとなっていた。
しかし、6月24日に同氏はこの方向転換について次のように語った。「ずっとやりたかったことをするチャンスが今ここにあります。このような挑戦をするのに相応しい年齢です。全力を注ぎたいと思っています」。
「多くの調教師と接する環境にありましたので、この職業がどれだけ難しいか、そしてタフかを十分に心得ています。ストレスが溜まり、きついものになるでしょうが、それはまた楽しいものとなるでしょう。本当にワクワクしており、この機会を得たことに満足しています」。
クリスフォード氏はジョン・ダンロップ(John Dunlop)調教師やサー・マーク・プレスコット(Sir Mark Prescott)調教師の助手として働き、本紙(レーシングポスト紙)のニューマーケットの通信員を務めた後に、1992年に設立されたゴドルフィンの顔として知られるようになった。同氏は一般の調教師になる予定だが、マクツーム一族(Maktoum family)の競馬アドバイザーは続ける。
同氏は次のように続けた。「ダンロップ調教師とプレスコット調教師の助手として、素晴らしい5年間を過ごしました。プレスコット厩舎を離れレーシングポスト紙に加わった時、調教師になりたいと思っていましたが、私のキャリアは違う方向に向かってしまいました。モハメド殿下は私を支持し、親切にしてくださり、厩舎開業にあたっても励ましてくれました。モハメド殿下からは馬について非常に多くのことを学びました。私のキャリアにおいて一番影響を受けたのは殿下であることは間違いありません」。
そして次のように付言した。「一般の調教師として開業しますが、マクツーム一族も支援を考えてくださるかもしれません。今度のセリで購買を検討し、この冬にドバイで出走させる馬を管理したいと思っています」。
クリスフォード氏の独力で厩舎を開業するという決意は、以前の同僚や他の調教師から称賛され、モハメド殿下の生産アドバイザーであるジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏はクリスフォード氏を“卓越した調教師の候補者”と言い表した。
2010年に調教師免許を取得したファーガソン氏は、「サイモンは本当に誠実な人物で、競走馬の成績や競馬番組の知識にかけては右に出る者はいません。ゴドルフィンにいる時に100頭ものG1馬を担当してきており、その競馬に関する非常に広い知識は、彼を卓越した調教師の候補者にならしめることでしょう」と語った。
そして「サイモンはすべての点で組織においては無くてはならない存在であり、私たちは皆、彼のようになりたいと思っています。確実に私よりも良い調教師になるでしょう」と付言した。
ブリテン調教師は、厩舎施設の一部を賃貸した後の同調教師自身の将来についての質問には答えずに、クリスフォード氏が受けている高い評価に関して次のように語った。
「サイモンは、私が彼にいくつか馬房を持たせてくれるかどうか尋ねてきました。私は彼が長年モハメド殿下にとって重要な役割を果たす忠実な部下であったので、馬房を貸しました。私たちの付属厩舎で調教を始め、それが軌道に乗ればより多くの馬房を貸すことができると言いました。彼はこのようなチャンスが与えられるのに値し、手を差し伸べるのに相応しい人物なので、私が手を貸したまでです」。
「私自身はどこにも移動するつもりはなく、140ある馬房を一杯にしておきたかったのです」。
プレスコット調教師は次のように語った。「ずっとサイモンと連絡を取り合っており、彼が調教活動を行うことを考えていることは知っていました。世界中の競馬を見てきたので、彼ほどその資格のある人はいません」。
BHA(英国競馬統轄機構)のスポークスマンであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は次のように語った。「BHAはクリスフォード氏から調教師免許の申請をまだ受け取っていません。受け取り次第、申請指針に定められた基準を踏まえ、通常のやり方で検討します。この基準には、調教計画に関係する全ての測定基準の達成が含まれています」。
By Peter Scargill
[Racing Post 2014年6月25日「Crisford excited by chance to realize his training dream」]