尊敬と称賛を受ける成績を挙げているこの名手の騎手生活もすでに25年。これまでを総括するのに良い機会である。3,200勝以上を挙げ(うちG1競走109勝)、リーディングに4度輝いたオリビエ・ペリエ(Olivier Peslier)騎手の本音に迫るインタビュー。
Q(パリテュルフ紙):41歳になられてどのように感じていますか?
A(ペリエ騎手):完璧なコンディションです。そもそも体は20歳の時よりもタフで、レース終盤での粘りに影響を与えています。いつも同じ信念と情熱を持っており、このことで騎手として働くことに常に変わらぬ喜びを持つことができています。さらに良いことは、信頼する人々と一緒に仕事に取組んでいることです。ヴェルテメール兄弟(Wertheimer)と契約を結んで11年になり、これまで固い関係を築き、状況の良し悪しに関係なく結束してきました。素晴らしい優良牝馬ゴルディコヴァ(Goldikova)でG1を14勝し、アンテロ(Intello)で2013年仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)、ソレミア(Solémia)で2012年凱旋門賞(G1)を優勝しましたが、この協力関係を今後も続けて行きます。
Q:極めて優秀な成績を収められていますが、今後の目標はありますか?
A:まだ仏オークス(G1 ディアヌ賞)を勝っていませんが、凱旋門賞を3勝できたのですから、それにこだわるつもりはありません。騎乗依頼された馬がどのような馬でも、自分の可能性を最大限に発揮して騎乗することに意欲を持っています。時折、私の年齢と成績を見て、私がビッグレースだけに全力を尽くす騎手ではないかと考える調教師もいますが、それは間違っていて、馬の階級がどうであろうと結果を出したいと考えています。格下のレースでの優勝がその馬の関係者にもたらす喜びは理解していただけないでしょうが、何ものにも代えられない感動なのです。
Q:最近、活動拠点を変えられ、勝鞍が少し減っているようですが、どういう経緯ですか?
A:妻のエミリーがピレネー-アトランティック県のバイヨンヌに程近いウルト(Urt)に住んでおり、1年半前に合流しました。あちらの気候はとても気持ち良く、順調な生活リズムをつかみました。ヴェルテメール兄弟とアルサーニ殿下(Sheikh Al Thani)との契約のために、頻繁にパリ地域に出向かなければなりませんが、多くの交通手段がありますので、シャンティイを拠点としなくなったものの何の問題もありません。以前と同様に時間を作れます。いずれにせよ、現代においては、どこに住んでいようと、あらゆる場所でレースがあるので、頻繁に移動しなければなりません。
Q:普段、同僚騎手についてどう考えていますか?特にクリストフ・スミヨン(Christophe Soumillon)騎手をどう見ていますか?
A:世界中で騎乗する騎手生活で積んだあらゆる経験から、フランスには世界最高レベルの騎手が集まっていると感じます。さらに、彼らは行き詰まった時に自発的に地方や海外で騎乗することを心得ており、それは新たな冒険をするという意味で大変役立っているようです。スミヨン騎手もあちこちで騎乗し、積極的に行動しています。彼は私たちの職業に多くのことをもたらす闘志ある人物です。才能に恵まれた天才です。
Q:今年前半についてどのように考えていますか?
A:今一つぱっとしませんでした。厩舎の馬が増えた割には目覚ましい結果は出せませんでした。8月と9月にデビューする2歳馬の様子を見ており、これが来年のヒントとなるでしょう。今年後半はもっと良くなると思います。
Q:騎手を引退したら、調教師になるつもりはありますか?
A:いいえ、全くありません。性に合っていません。妻は平地と障害の競走馬を生産し、馬主でもあります。すでに彼女を手伝っており、転職先はこれだと思っています。かなり労力を要する仕事です。私は大きな組織で多くの人々と働くよりも家族経営の小さな企業でトップを務めることの方が気に入っています。それなら、上司を納得させる必要はありませんから。
Q: 騎手という職業をどのように考えてもらいたいと思っていますか?
A: 年齢がどうであろうと、馬主は勝ってほしいと思っているわけですから、いつも最高の状態でなければなりません。絶えず働き、諦めず、頂点に立ったとしても常に在り方を問わなければなりません。そうすれば成功が巡ってきます。梯子には誰にでも上れる場所がありますが、もし一段下がれば誰かがあなたの場所を奪います。アドバイスするとすれば、自分に集中し、他人のことを考えて気を散らしてはいけません。わき見するよりも自分のことをきちんとやることです。
[Paris Turf 2014年7月10日「“Toujours la meme foi”」]