エリザベス女王が所有する2013年ゴールドカップ(G1)勝馬エスティメイト(Estimate)が、今年のグッドウッドカップ(G2)の最後の直線で減速し約20馬身差の最下位に敗れた。この精彩を欠くパフォーマンスの原因は、グッドウッド競馬場の起伏が激しくカーブがきつい馬場への苦手意識であるとされ、いくつかの大胆な挑戦を含む同馬の今後の計画は保留となった。
エリザベス女王のレーシングマネージャーであるジョン・ウォレン(John Warren)氏は、グッドウッドカップでこのような結果になる前には愛セントレジャー(G1)とメルボルンカップ(G1)への出走を考慮していたことを明らかにした。
ところが、このような野望は“消え失せてしまった”のである。5歳牝馬エスティメイトの今後の計画は白紙に戻される。同馬については、6月19日のゴールドカップで2着入線後の薬物検査で微量のモルヒネが検出され、世間の注目を浴びていた。
ウォレン氏は次のように伝えた。「ライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手は、エスティメイトが馬場に全く合わなかったと言っていました。2012年8月に同じグッドウッド競馬場で施行されたリリーラングトリーS(G3)で3着に敗れたことは偶然であると思っていましたが、この馬場は彼女に合っていません」。
サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師も敗因は馬場にあると考え、次のように語った。「リリーラングトリーSに出走した時、最後の長い直線でのパフォーマンスに満足できませんでした。ムーア騎手は今日、エスティメイトが自ら減速したわけでは決してないと語りました」。
ムーア騎手は裁決委員にこの見解を伝え、またウォレン氏は、スタウト調教師は同馬が発情期に入っていた可能性を否定していたと付言した。
ウォレン氏は、エスティメイトは柔らかい馬場にうまく適応しないので、例年9月後半以降の出走機会は限られていることを指摘したが、エスティメートを再び出走させるかどうかは、エリザベス女王と話し合われるだろう。
「ブリーダーズカップに、エスティメイトにふさわしい競走がないのであれば、メルボルンカップ(G1)が選択肢の1つとなったのでしょうが、今日のレースの後ではそれも消え失せてしまいました」。
BHA(英国競馬統轄機構)のCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、7頭からモルヒネの陽性反応が出たことを受け実施されている調査の最新情報について、次のように語った。「さらに陽性反応の馬が出る可能性を完全に排除できませんが、まもなく主な調査結果がまとめられる予定です」。
「馬関係者が不正行為をしていなくても、陽性反応は何らかの事情で生じることがあるということが示されつつあります」。
「モルヒネの陽性サンプルが見つかったのは、飼料の汚染が原因である可能性が非常に高いです」。
By Bruce Jackson
[Racing Post 2014年8月1日「Estimate flop is blamed on track」]