スコットランドがもし独立した場合に、国境の北側の競馬に生じる影響が懸念される中で、9月1日、調教師全国連合会(National Trainers' Federation: NTF)と馬主協会(Racehorse Owners’ Association: ROA)の代表者たちは、スコットランド政府のスポーツ・運動専門官リチャード・フォーゴ(Richard Foggo)氏と会見した。
世論調査は、9月18日のスコットランドの住民投票は予測がつかないほどの接戦になりそうだと示唆しているが、フォーゴ氏の担当部門はもし独立が決まった暁には、スコットランドでの競馬の分離の交渉や競馬への資金調達の仕組みの考案の任を負うことになる。
9月2日付のタイムズ紙(The Times)は、スコットランドの英国からの分離独立賛成派が反対派との差を縮めていることを明らかにした。世論調査会社ユーゴヴ(YouGov)の調査結果ではアレックス・サモンド(Alex Salmond)スコットランド行政府首相を支持している者は回答者全体の47%に上昇している。(訳注:サモンド行政府首相はスコットランド国民党の党首で、独立国家スコットランドを目指す決意を表明している)
もしスコットランド行政府首相が勝利を収めるとすれば、競馬界のすべての利害関係者に対し諮問期間が設けられるだろう。その後スコットランド行政府は競馬界に対して今後の方向について提案を行うだろうが、法律化するにはスコットランド議会を通過しなければならない。
NTFの審議委員であるニック・アレクサンダー(Nick Alexander)氏、ROAを代表するアラン・ガスリー(Alan Guthrie)氏、スコットランドの競馬場5場の代表を務めるスコットランド競馬マーケティング社(Scottish Racing Marketing Ltd.)のローナ・ファーガソン(Lorna Ferguson)氏が出席した9月2日の会見は、フォーゴ氏との2回目の会見であった。
アレクサンダー氏は第1回目の会見の後、調教師たちに次のように呼び掛けていた。「2016年3月の独立日までに、すべてを交渉し確定させなければなりません。現時点の見込みでは反対票が勝りそうですが、私たちはスコットランドの競馬界として、もし賛成票が上回るときに起こり得ることに備えておくことが肝要です」。
「スコットランド国民党は、独立が実現した暁には英国からの分離を要求するすべての公共団体(200団体以上と見込まれる)に対し“白紙アプローチ”が取られることを強く望んでいます。そして競馬に関しては、サモンド行政府首相はBHA(英国競馬統轄機構)に代りスコットランド競馬統轄機構(Scottish Horseracing Authority)を設立することを望んでいるようです」。
9月2日の会見の後、アレクサンダー氏は次のように語った。「私たちは、もし住民投票で独立の結果が出た場合、スコットランド政府が競馬の重要性を認識しているか、競馬をどのように構成するか、更には直面する技術的問題とそれに対する優先的取り組みについて確認するよう努めています。彼らは非常に受容力があり、さまざまなレベルで競馬の重要性を理解しています」。
By Graham Green
[Racing Post 2014年9月3日「Racing’s fears over Scottish independence vote」]