英国で最も大きな成功を収めてきた女性騎手のヘイリー・ターナー(Hayley Turner)騎手は、今シーズン終了と同時に引退する。同騎手は、2013年のドンカスター競馬場での凄まじい落馬事故後、自信回復にどれだけ苦労したかについて語った。
ターナー騎手は、2000年に騎手生活を開始し、2008年には女性騎手で初めて年間100勝を達成した。そして、2011年にはドリームアヘッド(Dream Ahead)でジュライカップ(G1)を制した。
騎手生活において多くの快挙をあげた一方で、怪我による不調も経験した。引退発表後、初めてコメントしたターナー騎手は、ドンカスター競馬場のパークヒルS(G2)においてジェームズ・ファンショウ(James Fanshawe)厩舎のシールオブアプルーヴァル(Seal Of Approval)から落馬し、背部と骨盤を損傷したことにより、自信が揺らいだと語った。
落馬事故から間もなくして、ターナー騎手とダービートレーナーであるマイケル・ベル(Michael Bell)調教師との長年にわたる実り多い協力関係は終了した。
騎手生活に後悔なし
ターナー騎手は次のように語った。「今シーズンはかなり満足しています。昨年は停滞気味でしたが、今年は最高の状態に戻っており、晴れやかな気分で引退できそうです」。
「浮き沈みの激しい騎手生活でしたが、後悔はありません」。
「多くの怪我を経験しましたが、恐怖心を感じることはありませんでした。ただ、シールオブアプルーヴァルの落馬事故から復帰したときには、自信を喪失していました。それまで経験したことのない現実と理想のギャップに悩み、気性の荒い馬に乗った時は、少し神経質になりました」。
ただの職業ではない
ターナー騎手が引退を決意したのは6月だが、“引退理由は騎乗チャンスの少なさに幻滅したからだろう”とする憶測を否定した。
ターナー騎手は、引退後、その解説者を務める予定のアットザレーシズ(At The Races 競馬チャンネル)に対し、次のように語った。「騎乗チャンスの少なさに苛立っているとする憶測は正しくありません。今年40勝をあげており、シーズン終了までには50勝以上をあげられるでしょう」。
「多くの騎乗をこなし、住宅ローンを支払っていますが、騎手であることはただの職業ではありません。生き方そのものであり、仕事と生活のバランスを取ることは困難です」。
「15年間、多くのことを成し遂げ、心から楽しんできましたが、新しいことをする心構えはできています。別の何かに邁進したいと思っています」。
By James Burn
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[Racing Post 2015年8月1日「Turner: Time to start new challenges」]