ベットフェア社(Betfair)は今春、ニュージャージー州の居住者に向けてエクスチェンジ賭事のシステム基盤を立ち上げた。ニュージャージー州競馬委員会(New Jersey Racing Commission: NJRC)が今週発表した数字によれば、エクスチェンジ賭事提供開始からの3ヵ月間において、1週間あたりの売上げ平均は約15万ドル(約1,500万円)であり、その売上げは毎週減少しているようだ。
ベットフェア社の役員はエクスチェンジ賭事の今後の見通しについて述べることを差し控えたが、好調な数字とはとても言えないだろう。週平均売上げの減少は、他の数ヵ国で熱烈に受け入れられているエクスチェンジ賭事の今後の発展にとって厄介な傾向である。エクスチェンジ賭事提供開始から7週間目までの週平均売上げは16万3,175ドル(約1,632万円)で、13週間目までの週平均売上げを8%上回る。NJRCが発表した数字は、エクスチェンジ賭事提供開始(5月10日)から8月7日までのものである。
ベットフェア社の役員はこの傾向について、この数字は意外なものではなく懸念していないと述べ、こう続けた。「米国の賭事客はこれまでパリミューチュエル賭事に馴染んできており、エクスチェンジ賭事で利用できる発走後賭事(訳注:ゴール直前まで変化するオッズに応じて賭けを追加し、リスクを軽減できる)などに不慣れなので、多くのことを学ばなければなりません。エクスチェンジ賭事はシステム基盤に制約があるため、ニュージャージー州の賭事客への提供範囲は限られています。しかし、ニュージャージー州の居住者が行う賭事には、英国にいるベットフェア社の多数の顧客が賭事相手として参加することができるので、週平均売上げは毎週大きく変動するかもしれません」。
TVG社(競馬テレビ&会員制賭事会社)を所有するベットフェアUS社のCEOキップ・レヴィン(Kip Levin)氏は、「米国におけるエクスチェンジ賭事の試験的な開始に大変満足しています。まだ始まったばかりで、実例が少ないことを考慮すれば、初期の結果には勇気づけられています」と語った。
ベットフェア社が15年前に英国で開発したエクスチェンジ賭事は、賭事客が各馬のオッズを提示して他の賭事客から賭事を受付けることを可能にする。まるで独立したブックメーカーとして活動するようであり、発走後も賭事を行うことができる。週平均売上げには、ニュージャージー州の居住者が英国の賭事客と行ったエクスチェンジ賭事の売上げも含まれている。
レヴィン氏は8月14日のジョッキークラブ年次円卓会議で、エクスチェンジ賭事のシステム基盤立上げのほか、TVG社とそのライバル会社であったHRTV社の統合による影響について演説を行う予定である。
NJRCによれば、エクスチェンジ賭事が提供されている中で最も人気があるのはモンマスパーク競馬場(ニュージャージー州)のレースである。それに、エヴァンジェリンダウン競馬場(ルイジアナ州)、マウンテニア競馬場(ウエストバージニア州)が続く。ニュージャージー州の居住者に向けたシステム基盤は、米国の21場を対象としたエクスチェンジ賭事を提供するが、デルマーやサラトガなど代表的な競馬場はこのサービスの提供を承認していない。
いくつかの競馬場とホースマンは、ベットフェア社にエクスチェンジ賭事を提供する許可を与えるのをためらっている。それは、ベットフェア社と金銭的条件で不都合が生じる懸念や、負け馬に賭けられるこの賭事において調教師や騎手が故意に馬に全能力を発揮させない懸念があるからである。
By Matt Hegarty
(1ドル=約100円)
[Daily Racing Form 2016年8月11日「Betfair's N.J. exchange wagers average $150K per week」]