海外競馬ニュース 2017年03月23日 - No.12 - 2
エリザベス女王、種牡馬ディープインパクトに関心(イギリス)[生産]

 エリザベス女王の繁殖牝馬群の今年の交配計画を見ると、ディープインパクトなど世界一流のターフ種牡馬数頭に目を奪われる。

 2013年アスコットゴールドカップ(G1)で王室の勝負服を背に印象深い勝利を収めたエスティメイト(Estimate 父モンズーン)は、3年連続でドバウィ(Dubawi)と交配する。クイーンズヴァーズ(当時G3)、サガロS(G3)、ドンカスターカップ(G2)も制したエスティメイトには1歳のドバウィ牡駒がおり、この2月にもドバウィ牝駒を出産した。

 エリザベス女王の生産・競走顧問を務めるジョン・ウォレン(John Warren)氏はこう語った。「女王陛下はロイヤルスタッド(サンドリンガム)にいらした際に、エスティメイトの生まれたばかりの仔をご覧になりました。今や2頭の質の高い仔馬を出産したエスティメイトが繁殖牝馬として順調なスタートを切っているのを目にして、感激されていました」。

 2016年に王室の繁殖牝馬群に加わった豪州G1優勝牝馬スウィートアイデア(Sweet Idea 父スニッツェル)は、昨年は受胎しなかったが、再びガリレオと交配する。

 またフランケル(Frankel 父ガリレオ)は、ラッドリーS(L)で優勝しチャートウェルフィリーズS(G3)で2着となった女王の自家生産馬ライトミュージック(Light Music 父イルーシヴクオリティ)の最初の交配相手に選ばれている。

 ウォレン氏はこう述べた。「繁殖牝馬を若い種牡馬とどうつければいいのか検討することは、交配を計画するにあたり、いつも興味がかき立てられる部分です。そして女王陛下は、母がデインヒルの牝馬であるガリレオ産駒のフランケルに、どのような牝馬をつければ上手くいくかを探りたいと思われるでしょう」。

 ライトミュージックの母メドレー(Medley 父デインヒルダンサー)は2月19日、ハイクレアスタッド(Highclere Stud)で供用されているケーブルベイ(Cable Bay)の見栄えの良い牝駒を出産した。

 ウォレン氏は「この牝駒の写真を見た人々は驚きました。この写真では、生後わずか8時間でしたが、生後1週間の仔馬のように見えました」と述べた。

 メドレーは今年もケーブルベイと交配する。

 ディープインパクト(社台スタリオンステーション)は、2016年リリックフィリーズS(L ヨーク競馬場)を制したディプロマ(Diploma 父ドバウィ)の最初の交配相手に選ばれた。ウォレン氏が指摘するように、ディープインパクトは日本の生産界の王者的存在だが、そのルーツを辿ればロイヤルスタッドに行き着く。

 ウォレン氏はこう語った。「ディープインパクトは女王陛下が所有したハイクレア(Highclere英1000ギニー&仏オークス優勝馬)のファミリー(牝系)に属しており、この組合せは面白そうなので、女王陛下はこの種牡馬を使うことを望んでおられました。ディプロマはEPテイラーS(G1)に出走するためにカナダへ輸送されているときに発病し、残念にも重賞競走でその実力を見せることができずに引退しました」。

 ディープインパクトは、世界でG1馬28頭を送り出しており、ハイクレアの孫ウインドインハーヘアを母とする。

 他のロイヤルスタッドの繁殖牝馬の交配計画は以下のとおりである。

・メモリー(Memory)→ガリレオ

・レイミコヤ(Raymi Coya)→トロナード(Toronado)

・セットトゥミュージック(Set To Music)→ロペデヴェガ(Lope De Vega)

・ゴールデンストリーム(Golden Stream)→シーザスターズ(Sea The Stars)

・モメンタリー(Momentary)→オーストラリア(Australia)

ウォレン氏は、「女王陛下の繁殖牝馬群はひそかに、美しく質の高い牝馬のコレクションに発展しつつあります」と付言した。

By Martin Stevens

[Racing Post 2017年2月25日「Kings of the turf set for royal engagement with Queen's broodmare band」]