愛ダービー(G1)で3着となってから24時間もたたないうちに、エイダン・オブライエン(Aidan O'Brien)厩舎の英ダービー(G1)優勝馬ウィングスオブイーグルス(Wings Of Eagles 父プールモワ)は引退することとなった。カラ競馬場で競走生活を終わらせる怪我を負ったことが判明したのだ。
ウィングスオブイーグルスは英ダービーにおいて、同馬よりずっと勝ち目がありそうな僚馬クリフスオブモハー(Cliffs Of Moher)をとらえ、オッズ40-1(41倍)で優勝したことにより、最大級のショックを巻き起こした。同馬はこの勝利により、比較的暗いキャリアを歩んでいたパドレイグ・ベギー(Padraig Beggy)騎手(31歳)を表舞台に連れ出して脚光を浴びさせた。
しかし、そのおとぎ話は今や違う展開を見せ、オブライエン調教師はウィングスオブイーグルスが左前肢の種子骨を骨折したことを認めた。
オブライエン調教師はこう語った。「ショックなニュースです。ウィングスオブイーグルスは左前肢の種子骨に酷い骨折を発症し、引退することになりました。その肢はピンで固定されていますが、残念ながら彼の競走生活は終了しました」。
「本当に優秀な牡馬でした。英ダービーでも愛ダービーでも実力を見せつけました。レース中に骨折したことは間違いありません。そんな状況でも彼は勇敢に戦いました」。
「トップクラスの馬であり、スタミナもあり、素晴らしい末脚が使えました。もう出走させられないのは、大きな損失です」。
ライアン・ムーア騎手に乗り替わったウィングスオブイーグルスは、7月1日の愛ダービーでカプリ(Capri)とクラックスマン(Cracksman)にそれぞれ首差と短頭差で敗れた。
ウィングスオブイーグルスは英ダービーの前に5回出走していたが、2歳時にキラーニー競馬場の未勝利戦で1勝していただけだった。
英ダービーの直前には、チェスターヴァーズS(G3)において最後の直線で追い上げヴェニスビーチ(Venice Beach)の2着となり、調子を上げていた。そして英ダービーでは、それまでの控えめな成績を上回る活躍を見せ、馬群の後方から、外を通って最後に追い上げて先頭で駆け抜けた。
ウィングスオブイーグルスがクリフスオブモハーを¾馬身差で破ったことは、多くの観客だけでなく、同馬の数人の関係者さえも戸惑わせた。
ベギー騎手にとって、英ダービー優勝はその地味なキャリアにおいて輝かしい栄誉となった。ミーズ州出身の同騎手は、豪州で騎乗していたが、2014年にコカインの陽性反応が出て15ヵ月間の騎乗停止処分を受けた後に、アイルランドへ帰国した。
その後、同騎手はバリードイル(Ballydoyle)のチームに入ったが、英ダービーでウィングスオブイーグルスに騎乗する前は、今年8レースしか騎乗していなかった。
ベギー騎手は昨年までの3年間において毎年1勝しかしていなかったが、クリフスオブモハーの引立役としてウィングスオブイーグルスが出走することとなり、スリリングな成行きで英ダービー騎乗のチャンスを手にした。
ベギー騎手はこう語った。「ウィングスオブイーグルスのことは決して忘れません。愛すべき牡馬でしたが、その潜在能力を十分に出せないのは大変残念です」。
「昨日あのようなレースができたことは、彼の勇気と意志の強さを物語っています。彼が種牡馬として成功することを望んでいます」。
オブライエン調教師は英ダービーを6勝しており、ウィングスオブイーグルスはこの6年間で4頭目の英ダービー優勝馬だった。
By Tony O'Hehir
[Racing Post 2017年7月2日「Derby hero Wings Of Eagles retired after Curragh injury」]