ディーン・アイヴォリー(Dean Ivory)調教師は8月7日、厩舎スタッフの厩舎内での小用が原因で管理馬ウォタドール(Wotadoll)が薬物検査で引っ掛かった事件を受け、大変困惑していることを認めた。
またもう1つの件では、厩舎スタッフの服用薬が馬からの禁止薬物検出の原因となっていたことを受け、アイヴォリー厩舎の優勝馬リンクスドライブレディ(Links Drive Lady)は失格となり、調教師に1,500ポンド(約21万円)の過怠金が科された。アイヴォリー調教師は深く悔やんでおり、他の厩舎スタッフへの教訓となるよう願っていると語った。
1つ目の件では、鎮静剤トラマドール(tramadol)を処方されていた厩舎スタッフがウォタドールの馬房内で小用を足していたことを認めた。また2つ目の件では、花粉症の厩舎スタッフとジャック・ダーン(Jack Duern)騎手がリンクスドライブレディの陽性反応の原因となったと考えられている。
このため、アイヴォリー調教師は、スタッフが厩舎内でそれらの薬を服用することを禁じ、再発を防ぐために新たな安全衛生方針を取り入れることになった。
アイヴォリー調教師はこう語った。「このような二次汚染が生じるとは思いもよりませんでした。スタッフへの監督責任がある私に非がありますが、そのことについてもっと意識していれば、スタッフに対してより一層注意喚起していたことでしょう。これは他の調教師にも起こり得ることです」。
「勝ったはずのレースなのに負けたことにされなければなりませんでした。さらに、過怠金も科されました。レースから14ヵ月も経ってからこのような結果となって、大変がっかりさせられます。馬主が失った賞金を弁償した上に、1ヵ月分の預託料も返還しました。金銭的にも感情的にも大きな負担となりました」。
リンクスドライブレディは昨年6月にウィンザー競馬場で優勝後、レース当日の使用が禁止されているセチリジン(cetirizine)の陽性反応が出た。その調査の過程で、この牝馬を担当していた厩舎スタッフのアレックス・ハンフリーズ(Alex Humphries)氏とダーン騎手が花粉症薬を飲んでいたことが明らかになった。
BHA(英国競馬統轄機構)の懲戒委員会は、当該馬は薬物を処方されたことがなく、おそらくハンフリーズ氏かダーン騎手の手との接触により偶然汚染されたものだろうと認めた。
一方ウォタドールは、昨年11月にウォルヴァーハンプトン競馬場で着外となった後の検査で陽性反応を示した。その原因調査の際に、厩務員兼調教助手であるシェーン・カディ(Shane Cuddy)氏がトラマドールを処方され、馬房を掃除しているときに時々厩舎内で小用を足していたことを認めた。他に考えられる原因についての説明はなかった。
アイヴォリー調教師はこう語った。「新しいトイレが設置されているのに、非常に困惑しています。このスタッフはもうここでは働いていませんが、厩舎内で小用を足すなんて論外でしょう」。
「私の厩舎でこのようなことが起こるとは考えてもみませんでしたが、どの厩舎でも、さらには競馬場の厩舎でも起こるかもしれません。この件から何らかの教訓が得られることを願っています」。
アイヴォリー調教師は現在、服用している薬について詳述した記録に署名するようスタッフに要求し、手袋をはめることを奨励している。また、引退した警察官の助力を得て、安全衛生方針を作り直す作業を行っている。
By Jon Lees
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2017年8月8日「Ivory loses winner and £1,500 after groom's costly leak」]