海外競馬ニュース 2017年09月28日 - No.38 - 2
デットーリ騎手、有望1歳馬のロイヤルアスコットでの騎乗を熱望(アメリカ)[その他]

 フランキー・デットーリ騎手のように"機を見るに敏"であれば、エージェントなどいらないのではなかろうか?9月13日、デットーリ騎手は全盛期のレスター・ピゴット騎手を超えるような積極性で、2018年ロイヤルアスコット開催における騎乗の最初の売込みを図った。それは、友人のウェスリー・ウォード(Wesley Ward)調教師がまだ馴致されていない1歳馬をキーンランドで購買した直後だった。

 ウォード調教師はスキャットダディの牝駒[母:アルゼンチンG1優勝馬ミスティレディ(Misty Lady)]を65万ドル(約7,150万円)で落札した。その契約書にサインした直後に、ウォード調教師の携帯電話はブンブンうなり、デットーリ騎手から「その牝駒に乗りたくてたまらない」というテキストメッセージが届いたのだ。

 ウォード調教師は、「まだ馴致を始める前なのに、フランキーはこの1歳馬に騎乗する気になっています。もしこの話を記事にするならば、私がフランキーに騎乗を依頼すると書いてもいいですよ」と述べた。

 このスキャットダディ牝駒(Hip 514)は、キーンランド9月1歳セールのブック2の2日目に上場された。ウォード調教師は、この鹿毛の牝駒を獲得できたことに大喜びし、熱狂的に語った。「とても興奮しています。美しい牝駒で、このセリでの最高の購買馬です。アスコットで走らせるのに向いています。積極的に競り合って、思っていたよりもやや高額になりました」。

 ウォード調教師はロイヤルアスコット開催において、他の米国人調教師に先駆けて大きな成功を収めている。クイーンメアリーS(G2)を制したアカプルコ(Acapulco)もレディオーレリア(Lady Aurelia)もスキャットダディ産駒である。欧州からの購買者は、しばらく米国の血統から遠ざかっていた後に今回キーンランドに戻ってきた動機として、この成功を引き合いに出した。

 ウォード調教師はこう続けた。「そう言っている人には会ったことがありませんが、喜ばしいことです。誰にとっても有益です。米国のサラブレッドビジネスは、いささか苦境に陥っています。ここで全員が深く関わりながら取り組んでいることを、世界の皆が目の当たりにすれば、良い意味で世界的な関心を引き付けることができます」。

 「多くの幸運が味方してくれました。ロイヤルアスコット開催では全てが思い通りに運びました。全く驚いています。この牝駒が期待通りの力を発揮してくれることを望んでいます」。

 ウォード調教師はこの牝駒を自らの名義で購買したが、ジム&フィトリ・ヘイ(Jim and Fitri Hay)夫妻や、誘いたいと思っている他の人々と共同所有すると語っている。

 同調教師はこう付言した。「これまでも、ポール・シャナハン(Paul Shanahan)氏や牝駒の生産者であるバーバラ・バンク(Barbara Banke)氏に協力してもらってきました。だから、彼らも手を貸してくれるかもしれません」。

 バンク氏はレディオーレリアを生産し、共同馬主となっている。同馬はナンソープS(G1 ヨーク競馬場)に出走したが僅差で敗れ、現在はキーンランドのウォード厩舎に戻ってきている。

 ウォード調教師は3歳のレディオーレリアをシーズン最後の1戦となるBCターフスプリント(G1)に向けて調教する予定である。そして放牧に出した後、2018年も現役を続けさせるつもりだ。

By Michele MacDonald in Keeneland

(1ドル=約110円)

[Racing Post 2017年9月15日「Dettori quick to claim ride on $650,000 Ward yearling」]