1月21日夜、毎年恒例のエクリプス賞授賞式において、カリフォルニアクローム(California Chrome)がBCクラシック(G1)優勝馬アロゲート(Arrogate)を差し置いて、2回目の米国年度代表馬に輝いた。
競馬界のアカデミー賞と称されるエクリプス賞の授賞式は、カリフォルニアクロームとアロゲートの再対決となるペガサスワールドカップ(G1・1月28日)が施行されるガルフストリームパーク競馬場で開催された。アロゲートは、1月25日にロンドンで発表予定の ロンジンワールドベストホースランキングで首位に立つと見られている(訳注:同ランキングでアロゲートは134ポンドを獲得し、見事にワールドチャンピオンに輝いた)。
しかし、2014年にも年度代表馬に選出されたカリフォルニアクロームは、得票数でアロゲートを大きく上回った(202対40)。欧州にはエクリプス賞に相当する賞はなく、たとえばカルティエ賞にしてもエクリプス賞ほど大きな影響力を持っていない。
年度代表馬の投票において、ソングバード(Songbird)は5票、バリードイルの世界中で活躍するBCターフ(G1)優勝馬ハイランドリール(Highland Reel)は1票を獲得した。
カリフォルニア州でベテランのアート・シャーマン(Art Sherman)調教師に管理されているカリフォルニアクロームは昨年、ドバイワールドカップ(G1)やビーホルダー(Beholder BCディスタフ優勝馬)に5馬身差をつけて優勝したパシフィッククラシック(G1)など、G1・3勝を含む7勝を挙げた。同馬は1971年のエクリプス賞創設以来、年度代表馬のタイトルを2回獲得した2頭目の馬となった。もう1頭は1981年と1984年の受賞馬ジョンヘンリー(John Henry)である。
カリフォルニアクローム、アロゲート、ソングバードの部門別賞の受賞は、授賞式の早い段階で確定していた。カリフォルニアクロームは最優秀ダート牡馬部門で248票を獲得し、ソングバードも満場一致で最優秀3歳牝馬に選出された。また、アロゲートは最優秀3歳牡馬部門で243票を獲得した。
欧州馬がエクリプス賞を受賞する気配はほとんどなかった。ハイランドリールは、最優秀芝牡馬部門でフリントシャー(Flintshire)に次ぐ2位となった。一方、最優秀芝牝馬部門ではファウンド(Found)とクイーンズトラスト(Queen's Trust)はわずかしか票を得られず、テピン(Tepin クイーンアンS優勝馬)が至極当然に同タイトルを2年連続で獲得した。
テピンが所属するマーク・カス(Mark Casse)厩舎からはもう1頭の受賞馬が出た。それは、BCジュヴェナイル(G1)優勝馬で現在ケンタッキーダービー(G1)の本命馬とされているクラシックエンパイア(Classic Empire)であり、同馬は最優秀2歳 牡馬に選出された。ボブ・バファート(Bob Baffert)調教師も2頭の管理馬が受賞している。それはアロゲートと最優秀短距離牡馬に選ばれたドレフォング(Drefong)である。
以前は英国とアイルランドを拠点としていたローナック(Rawnaq)は、ルビー・ウォルシュ(Ruby Walsh)騎手を背にアメリカングランドナショナルハードル(G1)を制したことで、最優秀障害馬に選出された。
アロゲートの快挙のおかげで、カリド・アブドゥラ(Khalid Abdullah)殿下のジャドモントファーム(Juddmonte Farms)は最優秀馬主に選出された。一方、フリントシャーを管理したチャド・ブラウン(Chad Brown)調教師は最優秀調教師のタイトルを初めて獲得した。同調教師は2016年の獲得賞金ランキングでも初めて首位に立った。
ハビエル・カステリャーノ(Javier Castellano)騎手は、4回目の最優秀騎手のタイトルを獲得した。また、最優秀生産者にはウィンスター牧場(WinStar Farm)、最優秀見習騎手にはルイス・オカシオ(Luis Ocasio)氏が選ばれた。生涯にわたる競馬への貢献に送られる功労賞は、ジャーナリストであるアンドリュー・バイヤー(Andrew Beyer)氏とスティーヴン・クリスト(Steven Crist)氏に贈られた。
ファイネストシティ(Finest City)はBCフィリー&メアスプリント(G1)を制したことで、最優秀短距離牝馬に選出された。同馬は1月21日にサンタモニカS(G2 サンタアニタ競馬場)を圧倒的な強さで制して、2017年のシーズンを開始している。
2016年エクリプス賞受賞馬/受賞者
年度代表馬:カリフォルニアクローム
最優秀ダート牡馬:カリフォルニアクローム
最優秀ダート牝馬:ビーホルダー
最優秀3歳牡馬:アロゲート
最優秀3歳牝馬:ソングバード
最優秀2歳牡馬:クラシックエンパイア
最優秀2歳牝馬:シャンパンルーム(Champagne Room)
最優秀短距離牡馬:ドレフォング
最優秀短距離牝馬:ファイネストシティ
最優秀芝牡馬:フリントシャー
最優秀芝牝馬:テピン
最優秀障害馬:ローナック
最優秀馬主:ジャドモントファーム
最優秀生産者:ウィンスター牧場
最優秀騎手:ハビエル・カステリャーノ氏
最優秀見習騎手:ルイス・オカシオ氏
最優秀調教師:チャド・ブラウン氏
By Nicholas Godfrey
[Racing Post 2017年1月22日「California Chrome regains US Horse of Year accolade」]