海外競馬ニュース 2017年12月21日 - No.50 - 4
BHAの最高規制責任者スティア氏、退任して豪州に帰国する意向(イギリス)[その他]

 BHA(英国競馬統轄機構)は、「最高規制責任者のジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏は、来年退任する意向である」と発表した。

 豪州出身のスティア氏が2018年に豪州競馬界でどのような役割を務めるのかについては、近いうちに詳細が発表されるだろう。

 退任日はまだ確定していないが、2018年前半と予定されている。BHAは来年早々から後任者選びに奔走するだろう。

 スティア氏の後任者は、厄介な問題を抱えた任務を引き継ぐこととなる。なぜなら、一連の規制問題についての世論に対応してBHAが行ってきた取組みが、しばしばホースマンとの対立を生んでいるからである。

 様々な規制改革を主導したことで、スティア氏は競馬界の各方面からの批判の矢面に立たされた。

 2010年に競馬開催運営・規制担当理事に任命された当初の課題の1つとして、鞭使用ルールの見直しを挙げ、その1年後に鞭使用ルールの違反に対する一層厳格な制裁措置が採用された。最初は反発があり、制裁が科されることが目立ったが、ルールはその後修正され、違反は減っていった。

 2015年、アスコット競馬場の重要なハンデ戦で裁決委員が本命馬スペキュラティブビッド(Speculative Bid)について「出走」と「出走取消」の両方で発表するという事案が生じた。この事案により、場内ブックメーカーは大きな損失を被ることとなり、スティア氏は批判の嵐の真っただ中に立たされた。

 最近では、スティア氏は騎手協会(Professional Jockeys Association)の激しい非難を受けた。それはマシュー・ローン(Matthew Lohn)弁護士の事案が生じる前に、「懲戒審問を行う上で公平な判断を妨げるような懲戒委員会の人選が行われている」という忠告に耳を傾けなかったからである。これにより、ローン弁護士が議長を務めたジム・ベスト(Jim Best)調教師の懲戒処分についての審問はやり直しとなった。

 スティア氏は12月17日、こう語った。「この8年間、英国競馬界とりわけBHAに従事するという特権を大いに享受しました。競馬の評判を守り、競走馬とホースマンが競馬に適切に参加できるようにするために、BHAは競馬において最も効果的な規制制度を常に追求しています。これで私は安心して退くことができます」。

 「8年間、多くの素晴らしい人々と一緒に働くことができて幸運でした。そして現在BHAを統率しているチームも例外ではありません。私をサポートしてくださった方々に感謝したいと思います」。

 BHAのCEOニック・ラスト(Nick Rust)氏はこう語った。「ジェイミーは、最高規制責任者として、また2010年にBHAに加わった当初に務めた競馬開催運営・規制担当理事として多大な貢献をしました。多くの仕事を成し遂げてくれたことに感謝しており、今後のご健勝をお祈りしています。BHAの規制制度は改善され、透明性が増し、この数年で進化しました」。

 なお、ニック・ラスト氏の前任者ポール・ビター(Paul Bittar)氏はスティア氏と同国人であり、現在は豪州に帰っている。

 スティア氏は、裁決・公正確保・馬の福祉など、BHAにおいて競馬開催運営を管理する任務を負っていた。

 同氏はまた、調教師・騎手・競馬場に免許を付与する部署を監督していた。これらの部署は、禁止薬物・不正行為に関する調査の実施、競馬界の馬福祉プログラムの運営などを統率していた。

By Bruce Jackson

[Racing Post 2017年12月17日「BHA regulatory chief Jamie Stier to return to Australia next year」]